ある部落で、野畑がだいぶん夜になると、もう荒らされるし、「どういうことがあるだろう。」と思って
、一人一人皆、野原に出して夜番をさせた。ところがそれがいなくなって、それの消息が分からない。ある
若者が、「自分が行って、それを退治して、また見つけてきましょう。」と言ったら、「それじゃ、頼むよ
。」と言われて、行ったところが、一夜(ひとや)経(た)っても見つからないし、二夜経っても見つから
ない。とうとう、「それじゃ雨降りの時に来るんじゃないか。」といって、雨降りの時に行ったところが、
居眠りをした。うとうとと蓑笠の下でひと眠りしておるときに、ある白髪の老人が現れて、「君はなぜこん
なところで眠ってる。」「毎日、この農作物が荒らされているので、これを退治して、また夜番の人がどこ
に行ったかと探しに来ました。」「そうか、それじゃ、僕が聞かせよう。」「はい。」「よく聞けよ。」っ
て言うたら、「はい。」って言って、眠りを覚めて聞いたところが、「王に棒なし、吾に口なし、大地の瘤
の牛の下。」「なんですか。」って。もう一回また言う。「王に棒なし、吾に口なし、大地の瘤の牛の下。
」「それじゃ、返事も分かりませんから教えてくださいね。」って言った時には姿はもう消えてしまって、
夜は明けてしまった。それじゃ惜しいと思って帰って、それから、トキに言うても言うても分からない。自
分で考えて考えても分からない。今度は、恥ずかしながら自分の妻に問うたら、「王に棒なしは三だよ。」
と言う。王は三書いて棒引く。「吾れに口なしは五(ご)。大地の瘤は山。丑の下は寅。」と。それで、と
うとう三五山の虎と分かって、とうとうその時は、三五山にかこんで、その虎を退治して、それからもう今
度は農作物が荒されなくなったと。
| レコード番号 | 47O150061 |
|---|---|
| CD番号 | 47O15C004 |
| 決定題名 | 三五山の虎(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 前津治平 |
| 話者名かな | まえつじへい |
| 生年月日 | 19040609 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県石垣市大浜 |
| 記録日 | 19750803 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 石垣市大浜T08B01 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 大浜の民話(平成7年度卒業論文)P88 |
| キーワード | 虎問答,虎退治 |
| 梗概(こうがい) | ある部落で、野畑がだいぶん夜になると、もう荒らされるし、「どういうことがあるだろう。」と思って 、一人一人皆、野原に出して夜番をさせた。ところがそれがいなくなって、それの消息が分からない。ある 若者が、「自分が行って、それを退治して、また見つけてきましょう。」と言ったら、「それじゃ、頼むよ 。」と言われて、行ったところが、一夜(ひとや)経(た)っても見つからないし、二夜経っても見つから ない。とうとう、「それじゃ雨降りの時に来るんじゃないか。」といって、雨降りの時に行ったところが、 居眠りをした。うとうとと蓑笠の下でひと眠りしておるときに、ある白髪の老人が現れて、「君はなぜこん なところで眠ってる。」「毎日、この農作物が荒らされているので、これを退治して、また夜番の人がどこ に行ったかと探しに来ました。」「そうか、それじゃ、僕が聞かせよう。」「はい。」「よく聞けよ。」っ て言うたら、「はい。」って言って、眠りを覚めて聞いたところが、「王に棒なし、吾に口なし、大地の瘤 の牛の下。」「なんですか。」って。もう一回また言う。「王に棒なし、吾に口なし、大地の瘤の牛の下。 」「それじゃ、返事も分かりませんから教えてくださいね。」って言った時には姿はもう消えてしまって、 夜は明けてしまった。それじゃ惜しいと思って帰って、それから、トキに言うても言うても分からない。自 分で考えて考えても分からない。今度は、恥ずかしながら自分の妻に問うたら、「王に棒なしは三だよ。」 と言う。王は三書いて棒引く。「吾れに口なしは五(ご)。大地の瘤は山。丑の下は寅。」と。それで、と うとう三五山の虎と分かって、とうとうその時は、三五山にかこんで、その虎を退治して、それからもう今 度は農作物が荒されなくなったと。 |
| 全体の記録時間数 | 3:09 |
| 物語の時間数 | 2:59 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |