亀になった男(方言)

概要

昔、むかし、ある部落に夫婦で生活しておった者がありましたが、非常に、貧しい生活をしておって、夫
はソーギといって、沖縄のミージョキーですね、あれを作って、妻はそれを売って、その暇々には、妻はま
た農業をやっておりました。この妻が働き者で、この妻の光で、だんだん裕福な生活ができるようになった
ので、夫は後では、「麦のご飯なんか食べられるか。」と言って愚痴ばっかりこぼして、「こんなことなら
、お前は離縁する。」と言って、とうとう妻は追い出されたので、妻は遠い山中に行って、自分独りの生活
をしておったそうであります。ところが、その後で、夫はこのミージョキを作って、売りに各部落を回った
ところが、一つも売れないので、飯を食うことも出来ないので、ひもじい思いをして山のなかに行くと、こ
の元の家内であった女の家に入ったそうです。そうすると、その女は、これは元の自分の夫であったことを
早く分かって、「あんたはご飯は食べたか。」と言ったら、「いや、今日は何も食べていない。」と、いっ
たそうです。「それじゃ、こっちでお茶でも飲んで、休んでください。あんたが持ってこられたミージョー
キは、全部私が買うから、私は今、ご飯を支度して持ってくるから、その間待ってください。」と行って、
麦のご飯を炊いて、あの男の前に出したら、あの男は美味しそうに、もう何回もおかわりさいて、腹いっぱ
いされたそうです。それで、その時、この女は、「あんたは、私分かってるか。」と言ったら、「分からん
。」と、「あんたの元の家内を忘れたのですか。裕福に暮らしておった時は、あんたはこんな麦飯なんか食
べられるかといって、私を蹴ったり踏んだりして、とうとう私は追い出されて、こっちに来て生活しておる
が、今になって、私が出した麦飯を美味しそうに、腹いっぱい食べらるのが恥ずかしくないか。」と言った
ので、この男は、そこで、自分の作ったるミージョーキを被って、山亀になって帰って行ったそうです。 
それで、年寄りは、「親の作ってこられるご飯には、愚痴こぼしてはいかない。何でもありがたいと言って
、食べる子どもが、後は、いいことがあるから。」と言っていました。こういう教訓の話であると思います

再生時間:3:16

民話詳細DATA

レコード番号 47O150010
CD番号 47O15C001
決定題名 亀になった男(方言)
話者がつけた題名 山亀になった男の話
話者名 上間金蔵
話者名かな うえまきんぞう
生年月日 1898508
性別
出身地 沖縄県石垣市大浜
記録日 19750804
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 石垣市大浜T02A01
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 本格昔話
発句(ほっく) むかす
伝承事情 祖父から聞いた。
文字化資料 大浜の民話(平成7年度卒業論文)P77
キーワード 貧乏な夫婦,麦ご飯,
梗概(こうがい) 昔、むかし、ある部落に夫婦で生活しておった者がありましたが、非常に、貧しい生活をしておって、夫 はソーギといって、沖縄のミージョキーですね、あれを作って、妻はそれを売って、その暇々には、妻はま た農業をやっておりました。この妻が働き者で、この妻の光で、だんだん裕福な生活ができるようになった ので、夫は後では、「麦のご飯なんか食べられるか。」と言って愚痴ばっかりこぼして、「こんなことなら 、お前は離縁する。」と言って、とうとう妻は追い出されたので、妻は遠い山中に行って、自分独りの生活 をしておったそうであります。ところが、その後で、夫はこのミージョキを作って、売りに各部落を回った ところが、一つも売れないので、飯を食うことも出来ないので、ひもじい思いをして山のなかに行くと、こ の元の家内であった女の家に入ったそうです。そうすると、その女は、これは元の自分の夫であったことを 早く分かって、「あんたはご飯は食べたか。」と言ったら、「いや、今日は何も食べていない。」と、いっ たそうです。「それじゃ、こっちでお茶でも飲んで、休んでください。あんたが持ってこられたミージョー キは、全部私が買うから、私は今、ご飯を支度して持ってくるから、その間待ってください。」と行って、 麦のご飯を炊いて、あの男の前に出したら、あの男は美味しそうに、もう何回もおかわりさいて、腹いっぱ いされたそうです。それで、その時、この女は、「あんたは、私分かってるか。」と言ったら、「分からん 。」と、「あんたの元の家内を忘れたのですか。裕福に暮らしておった時は、あんたはこんな麦飯なんか食 べられるかといって、私を蹴ったり踏んだりして、とうとう私は追い出されて、こっちに来て生活しておる が、今になって、私が出した麦飯を美味しそうに、腹いっぱい食べらるのが恥ずかしくないか。」と言った ので、この男は、そこで、自分の作ったるミージョーキを被って、山亀になって帰って行ったそうです。  それで、年寄りは、「親の作ってこられるご飯には、愚痴こぼしてはいかない。何でもありがたいと言って 、食べる子どもが、後は、いいことがあるから。」と言っていました。こういう教訓の話であると思います 。
全体の記録時間数 4:10
物語の時間数 3:16
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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