その当時ね、八重山には鉄の道具、鍬や鎌や鋤なんかなかった。そのためにヒルマクイ、幸地玉金という兄弟が居って、そのお婆さんも姉さんも妹も居ったらしい。そこで、なんとかして鉄の道具を得たいと思ってね、船を自ら作って東の太陽に向かって出た。出て、その間(かん)、お婆、兄弟は、二人の兄弟の帰るのを無事お祈りをし続けた。この二人は無事鹿児島の坊泊(ぼうのとまり)、今の坊津(ぼうのつ)に着いて、向こうの鍛冶屋でその鍛冶を打つ技術も習得し、鎌や鋤、道具を買い求めて、帰ろうとした。その時、白髪の老人が現れて、「君達、何処の者か。」「私達、琉球の八重山の石垣島の者です。」「何しに来たか。」と問うたら、「鎌、鋤と鉄器の道具を買いに来た。」「そうか、それならば帰るときにこの棺を与えるから、これの鳴る方向に向けて船をどんどん進ませ。」と。ということで、兄弟は喜び勇んで棺を貰って船出をした。 なるほど、この白髪の老人がおっしゃるとおり、棺が鳴り始めた。不思議に思いながら鳴る方向へ走っておったが、物珍しさにこの兄弟は開けてしまった。と同時に、風がにわかに方向変わって大暴風になってだね、ひとっとびに引き返されて、再び坊津へ戻った。その時、またさらに前の老人が現れて、「汝ら、自分の言うことを聞かなかっただろう。棺を開けただろう。」と言うから、兄弟はありのままに開けたと話した。「もう一度、棺を下さい。」「二度と開けたらもう三度(みたび)と帰れないよ。」ということで、兄弟は謹んでそれをお受けして、棺の鳴る方向へと来た。それで、大浜のカースンヤーという所にこれは着いた。そこでお婆、姉さん、妹達がだな、これはもう大変尊敬する神様だということで、その神を祀ったのが崎原御嶽である。その威部名(いびな)はフシカウカリと申してあると。八重山の御嶽は、その奥の方に威部というのがある。威部に神様はおられるというふうになっておるんだな。
| レコード番号 | 47O150372 |
|---|---|
| CD番号 | 47O15C023 |
| 決定題名 | 幸地玉金と崎原御嶽(共通語) |
| 話者がつけた題名 | 崎原御嶽由来 |
| 話者名 | 慶田正介 |
| 話者名かな | けいだせいすけ |
| 生年月日 | 19181129 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県石垣市大浜 |
| 記録日 | 19940824 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 石垣市大浜 T101 A01 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話、 伝説 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 大浜の民話 P10 |
| キーワード | 八重山,鉄,道具,鍬,鎌,鋤,ヒルマクイ,幸地玉金,兄弟,船,東の太陽,お祈り,鹿児島,坊泊,坊津,鍛冶屋,鍛冶,白髪の老人,琉球,八重山,石垣島,棺,大暴風,大浜,カースンヤー,神様,崎原御嶽,威部名,フシカウカリ |
| 梗概(こうがい) | その当時ね、八重山には鉄の道具、鍬や鎌や鋤なんかなかった。そのためにヒルマクイ、幸地玉金という兄弟が居って、そのお婆さんも姉さんも妹も居ったらしい。そこで、なんとかして鉄の道具を得たいと思ってね、船を自ら作って東の太陽に向かって出た。出て、その間(かん)、お婆、兄弟は、二人の兄弟の帰るのを無事お祈りをし続けた。この二人は無事鹿児島の坊泊(ぼうのとまり)、今の坊津(ぼうのつ)に着いて、向こうの鍛冶屋でその鍛冶を打つ技術も習得し、鎌や鋤、道具を買い求めて、帰ろうとした。その時、白髪の老人が現れて、「君達、何処の者か。」「私達、琉球の八重山の石垣島の者です。」「何しに来たか。」と問うたら、「鎌、鋤と鉄器の道具を買いに来た。」「そうか、それならば帰るときにこの棺を与えるから、これの鳴る方向に向けて船をどんどん進ませ。」と。ということで、兄弟は喜び勇んで棺を貰って船出をした。 なるほど、この白髪の老人がおっしゃるとおり、棺が鳴り始めた。不思議に思いながら鳴る方向へ走っておったが、物珍しさにこの兄弟は開けてしまった。と同時に、風がにわかに方向変わって大暴風になってだね、ひとっとびに引き返されて、再び坊津へ戻った。その時、またさらに前の老人が現れて、「汝ら、自分の言うことを聞かなかっただろう。棺を開けただろう。」と言うから、兄弟はありのままに開けたと話した。「もう一度、棺を下さい。」「二度と開けたらもう三度(みたび)と帰れないよ。」ということで、兄弟は謹んでそれをお受けして、棺の鳴る方向へと来た。それで、大浜のカースンヤーという所にこれは着いた。そこでお婆、姉さん、妹達がだな、これはもう大変尊敬する神様だということで、その神を祀ったのが崎原御嶽である。その威部名(いびな)はフシカウカリと申してあると。八重山の御嶽は、その奥の方に威部というのがある。威部に神様はおられるというふうになっておるんだな。 |
| 全体の記録時間数 | 5:39 |
| 物語の時間数 | 4:50 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |