鴛鴦の話は分かります。それじゃね、鴛鴦はね、この、昔ですね、どこの島か分からんよ。沖縄か本土か分かりませんがね、昔、年寄りがですね、妻もいないよ。貧乏人の年寄りがね、畑小屋に、畑小屋を作ってですね、ここで毎日耕してね、ここで毎日おられたそうです。そこでですね、あの人は非常に心も良くて、妻もいないんだが。畑小屋に籠もって、毎日畑を耕しているときに、若い女がですね、そっちの道の方から来てですね、あの年寄りの畑を耕すのを見てですね、ああ、こんなに年寄りが、草も一本も生やさないで、こんなに、野菜から、いろんな物を作って、この人は偉い人だね、羨ましくてね。この爺さんの畑を見てね、しょっちゅう通っていたらしい。そのうち、すると、毎日じゃない、時々、こんなに、女が見えるのでですね、年寄りはですね、もう行って畑を耕してですね、この女は見ている側でね、この爺ちゃんは眺めていたらしいですね。丁度あの時、雨が降ったのでですね、年寄りは自分の小屋から傘を持ってきて、「あい、姐さん。あなたはこんなに綺麗な女だがよ、雨が、毎日ここにいらっしゃる。こうやっていらっしゃるんだがね、本当に、ええ、ありがたいですね、健康で、こんなにいらっしゃって、本当にありがとう。この傘かぶってください。」ということでよ、傘をあげたら、この傘被ってね、そのうちに、この女からもよ、「お爺ちゃん、あなたはね、非常に、こんなに、年を取っていらっしゃいますがね、こんなに畑にね、草を生やすこともなく、こんなに立派に作物耕してね、いらっしゃる。本当に徳のある方で、本当に羨ましい。こんなに有り難い人ですね。」と言って誉めたらよ、「ああ、まあ、どうやらこうやら、この、他に私仕事もないので、これを仕事に暮らしておる。」と言ったらね、そしたら、雨がずいぶん降ったからよ、もう傘で、自然に「私の家に入りなさい。」と言うことで、入らしたらよ、いろいろな、この、年寄りも、自分のいろいろな事件を話して、若い女もね、「実は私、夫もいない、もう、こんなに、自分一人でね、こんなにある、こんなが、この、爺さん、あなたは熱心でね、いらっしゃいますが、あなたお子さんいらっしゃらなければね、私を妻にして、可愛がってもらえんか。」という話を女から、ああ、話が出たらしい。それで、年寄りはね、「ああ、あなたはこんなに綺麗、若い人が私なんか年寄りでね、あなたを農業にさせると言うことも、もったいない。ああ、これは身分不相なことだ。」と言って、〔聞き取り不能〕女がよ、「爺ちゃん、あなたのこの働きぶりを見たらよ、しょっちゅう私がここから見て、立ってね、私が見ていることを見たらね、本当によ、この、爺ちゃんが心の良い人でね、本当に有り難い。年取っておられてもね、ああ私は、
お爺さんみたいに、〔聞き取り不能〕できることならば、私を妻にしてください。」ということで、「ああ、それじゃ、良い事だから、一つ私の家内になってくれ。」ということでよ、なって、こんなにも、夫婦仲良いしでね、こんなにおるうちにですね、今度は、この、女の方の若い者なんかがよ、「あんな素晴らしい女が、こんな年寄りの妻になってね、大変だ。」と言うことで、この年寄りをね、どうにか殺して、したらよ、この女は、私の妻に、ええ、なるはずだからということで、若い者なんかが、爺さんを殺すためによ、川に船を浮かべてね、「爺ちゃん、今日はこの川に行って、川の釣りで、私なんか釣り上手だから、行って一緒に、私なんかの釣りを見てください。そして、あなたにわけてあげますから。」ということで、爺ちゃんに話したらよ、あの若い者なんかの船に乗ってよ、出られたそうだがよ、あの若い者が、深いところで、爺さんを落としてよ、死なしたわけ。死なしたからよ、この、女によ、ああ、あのお爺さんなんかはね、深いところなんか行くとよ、自分でよ、誤ってよ、船から落ちてよ、〔聞き取り不能〕救おうとしたら、川の流れが速いので、「もう流されてね、深いところに流されて、亡くなって、本当にすみません。」と言ってよ、詫びて来たらしい。この女はね、「ああ、こんな、心の良い人を亡くして、本当にすまない。」って言ってよ、あれからも思い出してですね、それじゃね、この若い男なんかに、女が言って、「私の、この、夫の爺さんが死んだところ、どの変だったか見せてくれ。」と言ってよ、この若い者になんか言ったら、「そ
れじゃ、いい。」ってことでよ、女をね、連れていってよ、船に乗せて、行って、「この辺だった。」と言ったらよ、女がね、そのままね、この、夫の位牌を持ってね、おった。あの位牌を抱いてね、ひっくり返って、そこの川に落ちたらしい。女が。年寄りを思って死んだらしい。あれからですね、この、翌日からですね、そこにね、鴛鴦がね、雄と雌の鳥が来てよ、ここに、仲良くね、こんなに暮らしてね、おることになってね、今度は、この若い男なんかも、女なんかも死んでね、あの翌日から、川にね、鴛鴦が出て、仲良くね、この鴛鴦が暮らしているのを見てですね、この爺ちゃんと若い女のね、この、契りがね、この、命があったときから、好きで夫婦になりね、もう、また、死んでもね、一心同体となっってね、こんなになったという鴛鴦の話がね、昔話にそんなのがあります。
・・鴛鴦‥‥ガンカモ科の鳥。雄の冬羽はきわめて美しく、体の左右に栗色のイチョウの葉のように広がった羽(イチョウ羽)が目立つ。沖縄においては、冬羽は九月から翌年五月中旬ごろまでみられる。 沖縄本島の北部、主として大宜味村津波部落以北の国頭の山林中に生息する。・沖縄‥‥沖縄本島のこと。・本土‥‥沖縄では主として九州以北の日本を意味する。戦前は内地または他府県といった。・畑小屋‥‥八重山方言でパタギヤーという。畑仕事の時の雨宿りや休憩の場で、そこではお湯を沸かしたり、アッコン(甘藷)を煮たり、大潮時には潮干狩りをして、畑で家族全員夕食を済ませて家に帰ることあったという。・位牌‥‥亡き人の霊魂を祭るためにその名を記す板を位牌という。
| レコード番号 | 47O330255 |
|---|---|
| CD番号 | 47O33C019 |
| 決定題名 | オシドリ夫婦由来(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 宮良松 |
| 話者名かな | みやらまつ |
| 生年月日 | 19031019 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 白保 |
| 記録日 | 19960913 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | T127 白保 B-08 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 本格昔話 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 聴く語る創る第10号特集石垣島の民話 沖縄伝承話資料センター編 日本民話の会・発行発売P34 八重山諸島民話集 遠藤庄治P38 |
| キーワード | 年寄り男,若い女,オシドリ |
| 梗概(こうがい) | 鴛鴦の話は分かります。それじゃね、鴛鴦はね、この、昔ですね、どこの島か分からんよ。沖縄か本土か分かりませんがね、昔、年寄りがですね、妻もいないよ。貧乏人の年寄りがね、畑小屋に、畑小屋を作ってですね、ここで毎日耕してね、ここで毎日おられたそうです。そこでですね、あの人は非常に心も良くて、妻もいないんだが。畑小屋に籠もって、毎日畑を耕しているときに、若い女がですね、そっちの道の方から来てですね、あの年寄りの畑を耕すのを見てですね、ああ、こんなに年寄りが、草も一本も生やさないで、こんなに、野菜から、いろんな物を作って、この人は偉い人だね、羨ましくてね。この爺さんの畑を見てね、しょっちゅう通っていたらしい。そのうち、すると、毎日じゃない、時々、こんなに、女が見えるのでですね、年寄りはですね、もう行って畑を耕してですね、この女は見ている側でね、この爺ちゃんは眺めていたらしいですね。丁度あの時、雨が降ったのでですね、年寄りは自分の小屋から傘を持ってきて、「あい、姐さん。あなたはこんなに綺麗な女だがよ、雨が、毎日ここにいらっしゃる。こうやっていらっしゃるんだがね、本当に、ええ、ありがたいですね、健康で、こんなにいらっしゃって、本当にありがとう。この傘かぶってください。」ということでよ、傘をあげたら、この傘被ってね、そのうちに、この女からもよ、「お爺ちゃん、あなたはね、非常に、こんなに、年を取っていらっしゃいますがね、こんなに畑にね、草を生やすこともなく、こんなに立派に作物耕してね、いらっしゃる。本当に徳のある方で、本当に羨ましい。こんなに有り難い人ですね。」と言って誉めたらよ、「ああ、まあ、どうやらこうやら、この、他に私仕事もないので、これを仕事に暮らしておる。」と言ったらね、そしたら、雨がずいぶん降ったからよ、もう傘で、自然に「私の家に入りなさい。」と言うことで、入らしたらよ、いろいろな、この、年寄りも、自分のいろいろな事件を話して、若い女もね、「実は私、夫もいない、もう、こんなに、自分一人でね、こんなにある、こんなが、この、爺さん、あなたは熱心でね、いらっしゃいますが、あなたお子さんいらっしゃらなければね、私を妻にして、可愛がってもらえんか。」という話を女から、ああ、話が出たらしい。それで、年寄りはね、「ああ、あなたはこんなに綺麗、若い人が私なんか年寄りでね、あなたを農業にさせると言うことも、もったいない。ああ、これは身分不相なことだ。」と言って、〔聞き取り不能〕女がよ、「爺ちゃん、あなたのこの働きぶりを見たらよ、しょっちゅう私がここから見て、立ってね、私が見ていることを見たらね、本当によ、この、爺ちゃんが心の良い人でね、本当に有り難い。年取っておられてもね、ああ私は、 お爺さんみたいに、〔聞き取り不能〕できることならば、私を妻にしてください。」ということで、「ああ、それじゃ、良い事だから、一つ私の家内になってくれ。」ということでよ、なって、こんなにも、夫婦仲良いしでね、こんなにおるうちにですね、今度は、この、女の方の若い者なんかがよ、「あんな素晴らしい女が、こんな年寄りの妻になってね、大変だ。」と言うことで、この年寄りをね、どうにか殺して、したらよ、この女は、私の妻に、ええ、なるはずだからということで、若い者なんかが、爺さんを殺すためによ、川に船を浮かべてね、「爺ちゃん、今日はこの川に行って、川の釣りで、私なんか釣り上手だから、行って一緒に、私なんかの釣りを見てください。そして、あなたにわけてあげますから。」ということで、爺ちゃんに話したらよ、あの若い者なんかの船に乗ってよ、出られたそうだがよ、あの若い者が、深いところで、爺さんを落としてよ、死なしたわけ。死なしたからよ、この、女によ、ああ、あのお爺さんなんかはね、深いところなんか行くとよ、自分でよ、誤ってよ、船から落ちてよ、〔聞き取り不能〕救おうとしたら、川の流れが速いので、「もう流されてね、深いところに流されて、亡くなって、本当にすみません。」と言ってよ、詫びて来たらしい。この女はね、「ああ、こんな、心の良い人を亡くして、本当にすまない。」って言ってよ、あれからも思い出してですね、それじゃね、この若い男なんかに、女が言って、「私の、この、夫の爺さんが死んだところ、どの変だったか見せてくれ。」と言ってよ、この若い者になんか言ったら、「そ れじゃ、いい。」ってことでよ、女をね、連れていってよ、船に乗せて、行って、「この辺だった。」と言ったらよ、女がね、そのままね、この、夫の位牌を持ってね、おった。あの位牌を抱いてね、ひっくり返って、そこの川に落ちたらしい。女が。年寄りを思って死んだらしい。あれからですね、この、翌日からですね、そこにね、鴛鴦がね、雄と雌の鳥が来てよ、ここに、仲良くね、こんなに暮らしてね、おることになってね、今度は、この若い男なんかも、女なんかも死んでね、あの翌日から、川にね、鴛鴦が出て、仲良くね、この鴛鴦が暮らしているのを見てですね、この爺ちゃんと若い女のね、この、契りがね、この、命があったときから、好きで夫婦になりね、もう、また、死んでもね、一心同体となっってね、こんなになったという鴛鴦の話がね、昔話にそんなのがあります。 ・・鴛鴦‥‥ガンカモ科の鳥。雄の冬羽はきわめて美しく、体の左右に栗色のイチョウの葉のように広がった羽(イチョウ羽)が目立つ。沖縄においては、冬羽は九月から翌年五月中旬ごろまでみられる。 沖縄本島の北部、主として大宜味村津波部落以北の国頭の山林中に生息する。・沖縄‥‥沖縄本島のこと。・本土‥‥沖縄では主として九州以北の日本を意味する。戦前は内地または他府県といった。・畑小屋‥‥八重山方言でパタギヤーという。畑仕事の時の雨宿りや休憩の場で、そこではお湯を沸かしたり、アッコン(甘藷)を煮たり、大潮時には潮干狩りをして、畑で家族全員夕食を済ませて家に帰ることあったという。・位牌‥‥亡き人の霊魂を祭るためにその名を記す板を位牌という。 |
| 全体の記録時間数 | 8:19 |
| 物語の時間数 | 8:04 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | ◎ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |