人魚の話(共通語)

概要

ええと、白保とね、今の、伊野田かな。伊野田という部落がありますよ。その間にね、そのあいだに、野原という部落があったんですね、昔。野原。村があったらしい。野原という村があって、で、そこでね、夜、夜、女の歌声が、波間に隠れて、聞こえたり、聞こえてこなくなったりして、きれいな声が聞こえたらしい。野原の青年が、それを聞いて、ね、聞いて、誰が来て、そういうことをしているのでしょう、というようなことで、二、三の青年が、船に乗って、沖へ出たわけ。そして、釣りをした。網で釣りを、じゃなくて、網で漁労をしたわけね。そしたら、網にね、よく釣れたらしいんだな、魚が。で、二、三回釣っているうちに、大きいものがかかって、重たいものが、引っかかっていたわけ。これは、大きな魚じゃないかなと言うことで、上げてみたら、この船から上は、若い女の顔。ちょうど、魚の、胴体からしたは、魚に似ているような格好で、ええ、釣れたわけ。そして、それを上げたら、ええ、そういうもので、珍しいと言うことで、珍しいものを今日は、収穫したから、持って行こうというふうに、持っておったら、この、釣ったものが、しくしくと泣き出して、どうか私をね、離してくださいと、私を離してくだされば、大きな秘密を話してあげるから、どうぞ、離してくださいと、涙ながらに頼んだわけ。そして、どいうことか、どうするかといって、みんなで話し合って、それだけ涙を流して話すんだから、みんなで離してあげましょうよというようなことで、これで離すまえに、この、いわゆる人魚が、人魚っていうさね。人魚が、いや、明日の朝、津波があるからね、津波があるから、津波の来ないうちに、高いところに行きなさいと、避難しなさいと言うようなことを人魚が言ったわけ。で、そのことを聞いて、みんなはびっくりして、人魚を離したわけ。そして、帰ってきて村人に、同じ村人に、明日の朝、津波があるから、みんな避難しましょうよと言うことを、みんなに告げて、で、白保まで飛んできているわけね。白保まで飛んで来て、明日の朝は、津波があるから、ということをいいに行ったら、白保の人は、ある程度信じたり、信じなかったりするわけね。で、そういう風にして、野原の人は、みんな丘へ上がって、助かったわけ。白保の人は、いくらかは助かり、いくらかは津波にさらわれた。それが、明和の津波と言うような話だけれども。それが本当かどうか分からんけども。それが明和の津波。

再生時間:3:54

民話詳細DATA

レコード番号 47O330166
CD番号 47O33C013
決定題名 人魚の話(共通語)
話者がつけた題名 人魚の話
話者名 宮良榮建
話者名かな みやらえいけん
生年月日 19221128
性別
出身地 白保
記録日 19960912
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 T122 白保 B-05
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 本格昔話
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料
キーワード 人魚,津波,白保
梗概(こうがい) ええと、白保とね、今の、伊野田かな。伊野田という部落がありますよ。その間にね、そのあいだに、野原という部落があったんですね、昔。野原。村があったらしい。野原という村があって、で、そこでね、夜、夜、女の歌声が、波間に隠れて、聞こえたり、聞こえてこなくなったりして、きれいな声が聞こえたらしい。野原の青年が、それを聞いて、ね、聞いて、誰が来て、そういうことをしているのでしょう、というようなことで、二、三の青年が、船に乗って、沖へ出たわけ。そして、釣りをした。網で釣りを、じゃなくて、網で漁労をしたわけね。そしたら、網にね、よく釣れたらしいんだな、魚が。で、二、三回釣っているうちに、大きいものがかかって、重たいものが、引っかかっていたわけ。これは、大きな魚じゃないかなと言うことで、上げてみたら、この船から上は、若い女の顔。ちょうど、魚の、胴体からしたは、魚に似ているような格好で、ええ、釣れたわけ。そして、それを上げたら、ええ、そういうもので、珍しいと言うことで、珍しいものを今日は、収穫したから、持って行こうというふうに、持っておったら、この、釣ったものが、しくしくと泣き出して、どうか私をね、離してくださいと、私を離してくだされば、大きな秘密を話してあげるから、どうぞ、離してくださいと、涙ながらに頼んだわけ。そして、どいうことか、どうするかといって、みんなで話し合って、それだけ涙を流して話すんだから、みんなで離してあげましょうよというようなことで、これで離すまえに、この、いわゆる人魚が、人魚っていうさね。人魚が、いや、明日の朝、津波があるからね、津波があるから、津波の来ないうちに、高いところに行きなさいと、避難しなさいと言うようなことを人魚が言ったわけ。で、そのことを聞いて、みんなはびっくりして、人魚を離したわけ。そして、帰ってきて村人に、同じ村人に、明日の朝、津波があるから、みんな避難しましょうよと言うことを、みんなに告げて、で、白保まで飛んできているわけね。白保まで飛んで来て、明日の朝は、津波があるから、ということをいいに行ったら、白保の人は、ある程度信じたり、信じなかったりするわけね。で、そういう風にして、野原の人は、みんな丘へ上がって、助かったわけ。白保の人は、いくらかは助かり、いくらかは津波にさらわれた。それが、明和の津波と言うような話だけれども。それが本当かどうか分からんけども。それが明和の津波。
全体の記録時間数 4:32
物語の時間数 3:54
言語識別 共通語
音源の質
テープ番号
予備項目1

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