もの言う牛(共通語)

概要

ある怠け者が牛を飼っていた。この男は牛を原野に繋いでおいてね、自分は怠け者だからと寝ころんでいたが、牛は草も食べて水も飲まんといけんでしょ。そういうこともしないで四、五日もほったらかしてあったと。そういう時に、牛は喉が渇いて水が飲みたいと思っても繋がれてるからどうしようもなく苦しんでおる時に、ある漁師が牛の側を通ったもんだからこの牛がこの漁師にね、「実はこうこうで水を飲みたいけど、うちの主人はこんなして自分を繋いだままにしておいて水も飲ましてくれない。どうぞ私をどこどこに連れて行って水を飲ましてちょうだい。」と牛が言うもんだから、この漁師は驚いて、「牛がもの言うのか。大変なことだ。」と牛を連れて水を飲ませて、牛にお礼を言われたもんだからこの漁師は、この牛の主によ、「あんたはこうこうして牛を苦しめている。あんたの牛からこんな言われてね、僕は水も飲ませてきたよ。」と言うもんだから、「お前は馬鹿か。牛がもの言うか。」「実際に言った。」と。「じゃあ、もし本当にこの牛がものを言ったんだったら、牛はあんたにあげる。」ということで、牛の所に来たら、この飼い主がね、「もの言うてごらん。」と言うたら返事もしなかったもんだから、「見てごらん、何ももの言わんだろうが。」と言うたら、今度はまた漁師が、「あんたは、水を飲ませてくれと言ったよね。」「うん、そうだ。ありがとう。」とお礼を言ったもんだから、「ほれ見てごらん、僕が言ったらちゃんと返事してくれるだろう。あんたは怠け者で牛を苦しめたから、返事も何も言わないんだ。」と。「自分が悪かった。約束通りこの牛はあんたにあげよう。」ということになって、牛をもらった。この漁師は漁もしながら、またこの牛も使って農業もしていると、こうやってる間に漁もどんどん大漁して、農作物もどんどん豊作で豊かな生活をおくるようになったと。だから漁師が牛にね、「あんたには大変お世話になった。自分の現在あるのはあんたのおかげだから、あんたがこう年とってあの世に行く様になってもね、家族として私達は子孫にも言い伝えておいてあんたを祀っておいてあげますよ。」と言うと、牛は、「そうじゃない。僕はあんたといろいろの天地の神々の守りで自分は現在こうしておれる。もう私は年をとって今からいろんな働きできないから、生きてる間に殺してその肉を神々に供物として供えてちょうだい。これが一番神へ対してのお礼、またあんたに対してのお礼になるから死ぬ前にこのお礼をしたい。」と牛が言うもんだから、「じゃああんたの願い通りやるか。」とこれを潰して肉は神への対しての感謝の供物として差し上げるようになったと。
 それで、平得村では昔は年に一度正月ぐらいしか肉は食べられないけど、そういう時代から、「神に対する最高の供物は牛肉だ。」と、昔は平得村でも結願祭になると、牛を沢山養ってる人達の牛からね、「どこのどの牛が形が良くて一番太っておいしそうだ。牛の肉を神の供物として上げよう。」と、牛を潰して結願祭を神にも感謝をして牛肉が供物として差し上げて、また村の代表者や氏子も牛の汁も食べられたと。

再生時間:6:20

民話詳細DATA

レコード番号 47O341248
CD番号 47O34C096
決定題名 もの言う牛(共通語)
話者がつけた題名
話者名 田本浩
話者名かな たもとひろし
生年月日 19240726
性別
出身地 沖縄県石垣市字平得
記録日 19980314
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 石垣市平得 T75 A09
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 本格昔話
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 石垣島の民話 P126
キーワード 怠け者,牛,ほったらかしてあった,漁師,水を飲みたい,牛がもの言う,牛の主,お礼,返事,大漁,豊作,お世話,天地の神々の守り,肉,供物,平得村,正月,結願祭
梗概(こうがい) ある怠け者が牛を飼っていた。この男は牛を原野に繋いでおいてね、自分は怠け者だからと寝ころんでいたが、牛は草も食べて水も飲まんといけんでしょ。そういうこともしないで四、五日もほったらかしてあったと。そういう時に、牛は喉が渇いて水が飲みたいと思っても繋がれてるからどうしようもなく苦しんでおる時に、ある漁師が牛の側を通ったもんだからこの牛がこの漁師にね、「実はこうこうで水を飲みたいけど、うちの主人はこんなして自分を繋いだままにしておいて水も飲ましてくれない。どうぞ私をどこどこに連れて行って水を飲ましてちょうだい。」と牛が言うもんだから、この漁師は驚いて、「牛がもの言うのか。大変なことだ。」と牛を連れて水を飲ませて、牛にお礼を言われたもんだからこの漁師は、この牛の主によ、「あんたはこうこうして牛を苦しめている。あんたの牛からこんな言われてね、僕は水も飲ませてきたよ。」と言うもんだから、「お前は馬鹿か。牛がもの言うか。」「実際に言った。」と。「じゃあ、もし本当にこの牛がものを言ったんだったら、牛はあんたにあげる。」ということで、牛の所に来たら、この飼い主がね、「もの言うてごらん。」と言うたら返事もしなかったもんだから、「見てごらん、何ももの言わんだろうが。」と言うたら、今度はまた漁師が、「あんたは、水を飲ませてくれと言ったよね。」「うん、そうだ。ありがとう。」とお礼を言ったもんだから、「ほれ見てごらん、僕が言ったらちゃんと返事してくれるだろう。あんたは怠け者で牛を苦しめたから、返事も何も言わないんだ。」と。「自分が悪かった。約束通りこの牛はあんたにあげよう。」ということになって、牛をもらった。この漁師は漁もしながら、またこの牛も使って農業もしていると、こうやってる間に漁もどんどん大漁して、農作物もどんどん豊作で豊かな生活をおくるようになったと。だから漁師が牛にね、「あんたには大変お世話になった。自分の現在あるのはあんたのおかげだから、あんたがこう年とってあの世に行く様になってもね、家族として私達は子孫にも言い伝えておいてあんたを祀っておいてあげますよ。」と言うと、牛は、「そうじゃない。僕はあんたといろいろの天地の神々の守りで自分は現在こうしておれる。もう私は年をとって今からいろんな働きできないから、生きてる間に殺してその肉を神々に供物として供えてちょうだい。これが一番神へ対してのお礼、またあんたに対してのお礼になるから死ぬ前にこのお礼をしたい。」と牛が言うもんだから、「じゃああんたの願い通りやるか。」とこれを潰して肉は神への対しての感謝の供物として差し上げるようになったと。  それで、平得村では昔は年に一度正月ぐらいしか肉は食べられないけど、そういう時代から、「神に対する最高の供物は牛肉だ。」と、昔は平得村でも結願祭になると、牛を沢山養ってる人達の牛からね、「どこのどの牛が形が良くて一番太っておいしそうだ。牛の肉を神の供物として上げよう。」と、牛を潰して結願祭を神にも感謝をして牛肉が供物として差し上げて、また村の代表者や氏子も牛の汁も食べられたと。
全体の記録時間数 6:51
物語の時間数 6:20
言語識別 共通語
音源の質
テープ番号
予備項目1

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