天人女房(共通語)

概要

北斗七星は北(にし)の七つ星というんだけどね、昔ね、畑帰りの農夫が帰りがけにふとみると、それはそれはきれいな蝶の羽のような衣が木の枝に掛けてあったそうです。あまりの美しさに農夫はそれを見て、「持って帰ろう」と思って隠し持って、下を見るとね、その衣を脱いだ美しい女性が水浴びをしていたそうです。その女性は人に気づいてね、自分の着物を置いていた場所に走ったんだけれども、置いてあった衣がなくなっているから、その女性は泣きだしてしまったそうです。そこへ先程の農夫が近づいて行って、「どうしたの」ってわけを尋ねると、女性は、「実は私は天から来た天女ですけどね、あの衣がないと天に帰ることができません」と言ってオイオイ泣いたそうです。農夫は素知らぬ顔でね、自分の着物を与えて、「じゃあ、家へ行こう」と言って、自分の家へ連れて帰ったそうです。二人はそこで仲良く暮らしているうちに子供ができてね、幸せに暮らしていたそうですけど、農夫がその子供に聞かせる歌の子守歌を歌っていたそうです。それが、自分で歌を作って、「飛衣(とぅびきん)、舞衣(まいきん)どこにある。それは米倉の下、粟倉の下」と歌ってたそうです。飛衣(とぅびきん)、舞衣(まいきん)といったらこの蝶の衣のような着物のことを言うね。それを聞いたから、妻になっている女性は、「飛衣(とぅびきん)、舞衣(まいきん)はそこに隠してあるんだな」と思っていたんじゃない。そうしたある日、晩酌をしながらね、空を仰いでたこの農夫はね、「不思議だな、北七星(にしななつ)と言うけど、星が六つしかないね。どうしてかね」と言うことを言っていたそうです。それを聞いていた妻はね、「あんたは言うべきでないことを言ってしまわれたので、私は天へ帰らなければなりません。」と言ったそうです。それを聞いた農夫はね、「自分が衣を隠してあるから帰れるはずはない。」と高を括っておったんでね、「じゃあ、帰れるんだったら帰りなさい。」とつい言ってしまったそうですね。そしたら妻は農夫が野良へ出たあとにね、あらかじめ確かめておいたこの羽衣を身につけて子供を背負って天へ飛び立ったそうです。その夜からこの北(にし)七つはちゃんと七星があるし、おまけに側には小っちゃな子供星が瞬いておるので、その親子を合わせて北斗七星と言っている。何番目かはよくわからないけど、北斗七星のなかであの小っちゃいのは、地上に下りた天女が産んだ小さい子供であるということなんですよね。私のこの昔話ていうのはね、みんな慶応元年生まれのお祖母さんから聞いた話なんです。

再生時間:4:00

民話詳細DATA

レコード番号 47O340615
CD番号 47O34C042
決定題名 天人女房(共通語)
話者がつけた題名 北斗七星女房(にすななつ)
話者名 山根慶子
話者名かな やまねけいこ
生年月日 19241105
性別
出身地 沖縄県石垣市字新川
記録日 19980908
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 石垣市字新川 T50 B02
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 本格昔話
発句(ほっく)
伝承事情 慶応元年生まれのお祖母さんから聞いた
文字化資料
キーワード 北斗七星,北,にしななつ,七つ星,農夫,きれいな蝶の羽のような衣,美しい女性,水浴び,天女,子供,子守歌,飛衣,舞衣,米倉の下,粟倉の下,着物,妻,晩酌,星,六つ,言うべきでないこと,羽衣,子供星
梗概(こうがい) 北斗七星は北(にし)の七つ星というんだけどね、昔ね、畑帰りの農夫が帰りがけにふとみると、それはそれはきれいな蝶の羽のような衣が木の枝に掛けてあったそうです。あまりの美しさに農夫はそれを見て、「持って帰ろう」と思って隠し持って、下を見るとね、その衣を脱いだ美しい女性が水浴びをしていたそうです。その女性は人に気づいてね、自分の着物を置いていた場所に走ったんだけれども、置いてあった衣がなくなっているから、その女性は泣きだしてしまったそうです。そこへ先程の農夫が近づいて行って、「どうしたの」ってわけを尋ねると、女性は、「実は私は天から来た天女ですけどね、あの衣がないと天に帰ることができません」と言ってオイオイ泣いたそうです。農夫は素知らぬ顔でね、自分の着物を与えて、「じゃあ、家へ行こう」と言って、自分の家へ連れて帰ったそうです。二人はそこで仲良く暮らしているうちに子供ができてね、幸せに暮らしていたそうですけど、農夫がその子供に聞かせる歌の子守歌を歌っていたそうです。それが、自分で歌を作って、「飛衣(とぅびきん)、舞衣(まいきん)どこにある。それは米倉の下、粟倉の下」と歌ってたそうです。飛衣(とぅびきん)、舞衣(まいきん)といったらこの蝶の衣のような着物のことを言うね。それを聞いたから、妻になっている女性は、「飛衣(とぅびきん)、舞衣(まいきん)はそこに隠してあるんだな」と思っていたんじゃない。そうしたある日、晩酌をしながらね、空を仰いでたこの農夫はね、「不思議だな、北七星(にしななつ)と言うけど、星が六つしかないね。どうしてかね」と言うことを言っていたそうです。それを聞いていた妻はね、「あんたは言うべきでないことを言ってしまわれたので、私は天へ帰らなければなりません。」と言ったそうです。それを聞いた農夫はね、「自分が衣を隠してあるから帰れるはずはない。」と高を括っておったんでね、「じゃあ、帰れるんだったら帰りなさい。」とつい言ってしまったそうですね。そしたら妻は農夫が野良へ出たあとにね、あらかじめ確かめておいたこの羽衣を身につけて子供を背負って天へ飛び立ったそうです。その夜からこの北(にし)七つはちゃんと七星があるし、おまけに側には小っちゃな子供星が瞬いておるので、その親子を合わせて北斗七星と言っている。何番目かはよくわからないけど、北斗七星のなかであの小っちゃいのは、地上に下りた天女が産んだ小さい子供であるということなんですよね。私のこの昔話ていうのはね、みんな慶応元年生まれのお祖母さんから聞いた話なんです。
全体の記録時間数 5:53
物語の時間数 4:00
言語識別 共通語
音源の質
テープ番号
予備項目1

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