大昔、沖縄へ旅に出た男が暴風雨で支那に流された。ある家の召使になって、田仕事をして働いていた。ある日、田にお面が下がっているので、初めは山猪か小鳥を驚かすためかと思ったが、人に聞くと、豊作を祈願するための神の面だと言う。男は、自分が故郷に帰るときは盗んででもあのお面を持っていこうと思っていたが、滞在が何年にも渡ったのでなかなか実行できないでいた。とうとう、ある雨の降る晩、お面を盗み、自分の破れた襦袢に包んで洞穴に隠しておいた。そしてある晩呼び出され、明日ふるさとに帰る船が出るから荷造りをしなさいと言われたので、洞穴からお面を持ってきて一緒に荷造りした。翌日、男は船頭に、故郷に着くまで一言も口をきいてはならないと命じられ、何十日もの航海の間無言で通した。そして、とうとうある島で降ろされたが、男はそれが自分の島なのかわからなかったので、白い浜のアダンの木の下で夜を明かした。翌朝、女がざるを頭にのせて歩いてきたので声をかけてみると、自分の家内のマイツガニだった。マイツガニは夫は死んだものと思い七年忌も済ませていたので、なかなか信じなかったが、ようやく信じて、村へ連れ帰った。マイツガニは、「夫が天から降りてきたから、祝ってください」と村中に大声で呼びかけた。そして、仏壇の香炉を投げ捨てて、夫を家に迎え入れ、その日は村中の人が来てお祝いになった。ところで、男はあのお面を編み籠に隠し、妻や子どもに、編み籠にさわると大変なことになるから絶対触るなと言っておいた。そして、旧の六月になると、午の日か寅の日を選んで、妻にご馳走を作らせ、お面を洞穴に持っていって、一人で祈っていた。その男の田はいつも豊作なので、ある年、二人の村人が後をつけてみると、男がそのお面をかぶって舞を舞っているのを見つけた。そこで今度は三人で祈ることにしたら、三人の田が豊作になった。だんだん加わる人が増えていったので、しまいには部落全体で祈ることとなり、豊年祭となった。これが、八重山に伝わるアカマターの行事になったのではないかと思う。
| レコード番号 | 47O340419 |
|---|---|
| CD番号 | 47O34C030 |
| 決定題名 | アカマタの由来(方言) |
| 話者がつけた題名 | アカマタの由来ドゥヤレーアラヌカヤの話 |
| 話者名 | 石川正松 |
| 話者名かな | いしかわせいしょう |
| 生年月日 | 18980511 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県石垣市字新川 |
| 記録日 | 19750805 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 石垣市字新川 T15 A06 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 伝説、 民俗 |
| 発句(ほっく) | あまみけん |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | 八重山諸島民話集 P148 |
| キーワード | 沖縄旅,唐,田,面,盗み,豊作,洞穴,マイツガニ,あみ籠,舞い,アカマタ, |
| 梗概(こうがい) | 大昔、沖縄へ旅に出た男が暴風雨で支那に流された。ある家の召使になって、田仕事をして働いていた。ある日、田にお面が下がっているので、初めは山猪か小鳥を驚かすためかと思ったが、人に聞くと、豊作を祈願するための神の面だと言う。男は、自分が故郷に帰るときは盗んででもあのお面を持っていこうと思っていたが、滞在が何年にも渡ったのでなかなか実行できないでいた。とうとう、ある雨の降る晩、お面を盗み、自分の破れた襦袢に包んで洞穴に隠しておいた。そしてある晩呼び出され、明日ふるさとに帰る船が出るから荷造りをしなさいと言われたので、洞穴からお面を持ってきて一緒に荷造りした。翌日、男は船頭に、故郷に着くまで一言も口をきいてはならないと命じられ、何十日もの航海の間無言で通した。そして、とうとうある島で降ろされたが、男はそれが自分の島なのかわからなかったので、白い浜のアダンの木の下で夜を明かした。翌朝、女がざるを頭にのせて歩いてきたので声をかけてみると、自分の家内のマイツガニだった。マイツガニは夫は死んだものと思い七年忌も済ませていたので、なかなか信じなかったが、ようやく信じて、村へ連れ帰った。マイツガニは、「夫が天から降りてきたから、祝ってください」と村中に大声で呼びかけた。そして、仏壇の香炉を投げ捨てて、夫を家に迎え入れ、その日は村中の人が来てお祝いになった。ところで、男はあのお面を編み籠に隠し、妻や子どもに、編み籠にさわると大変なことになるから絶対触るなと言っておいた。そして、旧の六月になると、午の日か寅の日を選んで、妻にご馳走を作らせ、お面を洞穴に持っていって、一人で祈っていた。その男の田はいつも豊作なので、ある年、二人の村人が後をつけてみると、男がそのお面をかぶって舞を舞っているのを見つけた。そこで今度は三人で祈ることにしたら、三人の田が豊作になった。だんだん加わる人が増えていったので、しまいには部落全体で祈ることとなり、豊年祭となった。これが、八重山に伝わるアカマターの行事になったのではないかと思う。 |
| 全体の記録時間数 | 11:46 |
| 物語の時間数 | 11:16 |
| 言語識別 | 方言 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |