美鎮山(びっちんやま)の場所はこの道の一つ東かな。すぐすぐまっすぐ下りて行ってね、そのすぐ下りると港まで行く手前です。港に行く道は何本もありますけどね、ザキミの元の酒屋の前には大きな道路がありますでしょ。これの一つ南の横線。そこ一八番街って言って料亭がある道路だったんですよ。この市役所通りから美崎町までは行かない横通りの三番目の通りになるさ。そこに今言うこの美鎮山の南の道の下がありますよね。今の市役所通りから南側は海だったんですよ。そこの方にある人が潮水を汲みに海に行ったら、海から流れてくるものがあるから、待っておったら浮いて流れてくるのは石だったらしいですね。それを船置き場から見て、「おかしい。変な物が浮いてくるな。」と見たんでしょうね。ただ待っておったら、ずっと潮に乗ってきたもの見たら石になっとったらしい。「石がこんなに浮いてくるって言うのはおかしいなあ。」と思って、「これはおもしろいんだ。」と思っていたら、その石が浅瀬にきて止まったから、この人は神様とは思わないで、自分で石をきちんと抱いて持ってからね、向こうの道を通ってきて、その美鎮山(びっちんやま)のところまで来たら、少し疲れたから、ちょっと休んでいこうとして、「ここでちょっと休もう。」と置いてね、少し休憩して、それからまた持って行こうとしたら、この石が重くなってそのまま動かなかったんですな。だから、「ああ、これはただの石じゃないんだ。これはなんと神様であった。」と言うことで、それからこの石はそこに祀っただけだった。そのころの美鎮山(びっちんやま)になったところは、大きな木の林のある山みたいなところだったが、神様の石のことを美鎮(びっちり)というから、そこも美鎮山(びっちんやま)と言うようになった。ここは昔はただ美鎮をお祀りしたところで、この道にこう小さな門があるんですよね。ここから階段式に登って上に行って、昔は大きな木の林のなかに実際この石を置いてあったらしいんですけれども、この美鎮山の神様は海の彼方から来たもんだから、漁民たちが海に縁のある神様であると言うことで、漁民は、「これは海の神様だから我々は海の仕事をきて生活をしておるんだから、そこを拝みましょう。」と言う話し合いでね、拝んだのが、漁民たちが、「そのまま粗末にしたんじゃいけない。」と言うことでちょっと集まってさ、きれいにしてね、漁民が皆ここを大事に信仰しておるような話を聞いています。これはずっと昭和の初期ぐらいじゃないかな。僕なんか小学校時代は、美鎮山(びっちんやま)ところは海にこう通ずるんところだから、泳ぎに行くときはそこを通ったですが、美鎮山を見ていませんでした。うっかりね、その美鎮山の通りはね、もともとは一八番街で、そこは料亭街ですからね、料亭街ですから、料亭に行って宴会をしたり飲んだりするでしょ。そして、美鎮山のところは、ちょうどガジマルがこう道にこうかぶっていますからね、男の人なんかはいつでも、そこに酔っ払ってきて、「ここで小便しよう。」と言ってね、美鎮山に向かって小便するんですよね。すると大変ですよ。この人はこの神様が怒ってね、そのために、その人は目の前がどこに向かってるかわからなくなって、どんどん家に帰って行くつもりが、逆に東に行ったり、下に行ったりして、家まで行くつもりが、行っても行っても家につかなくて、いつの間にか新川(あらかわ)の観音堂の手前まで行ってるんだけど、本人もわからんわけですよね。そしてまた帰るのがわからんのでね、そこの木をつかまえて、「少しもとに返るまでここで動かんでおこう。」とそこでずっと居って、一時間も二時間もそして真夜中にごろになってね、ようやく目が覚めて見たらね、村からずいぶん離れた野原(のっぱら)だとやっと気がついて、「ああ、ここはこの本道行きの道なんだ。」と、また歩いてきて家に帰ってきたそうだ。だから、「ぼくはこうこうで、こういう経験があるから、絶対ここではおしっこはするなよ。すごく神に迷わされて、東に行くか西に行くかわからなくなるようになるんだよ。」と言うそういう笑い話みたいな話があるもんですからそれだけこの美鎮山は非常に貴重な海の神様と言われています。
| レコード番号 | 47O341051 |
|---|---|
| CD番号 | 47O34C080 |
| 決定題名 | 美鎮御嶽(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 玉代勢長伝 |
| 話者名かな | たまよせちょうでん |
| 生年月日 | 19171028 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県石垣市字石垣 |
| 記録日 | 19980907 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 石垣市石垣 T35 A03 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 伝説 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | - |
| キーワード | 美鎮山,海,流れてくる,神様,重くなって,動かなかった,神様の石,お祀り,漁民,一八番街,料亭街,小便,新川,観音堂,迷わされて |
| 梗概(こうがい) | 美鎮山(びっちんやま)の場所はこの道の一つ東かな。すぐすぐまっすぐ下りて行ってね、そのすぐ下りると港まで行く手前です。港に行く道は何本もありますけどね、ザキミの元の酒屋の前には大きな道路がありますでしょ。これの一つ南の横線。そこ一八番街って言って料亭がある道路だったんですよ。この市役所通りから美崎町までは行かない横通りの三番目の通りになるさ。そこに今言うこの美鎮山の南の道の下がありますよね。今の市役所通りから南側は海だったんですよ。そこの方にある人が潮水を汲みに海に行ったら、海から流れてくるものがあるから、待っておったら浮いて流れてくるのは石だったらしいですね。それを船置き場から見て、「おかしい。変な物が浮いてくるな。」と見たんでしょうね。ただ待っておったら、ずっと潮に乗ってきたもの見たら石になっとったらしい。「石がこんなに浮いてくるって言うのはおかしいなあ。」と思って、「これはおもしろいんだ。」と思っていたら、その石が浅瀬にきて止まったから、この人は神様とは思わないで、自分で石をきちんと抱いて持ってからね、向こうの道を通ってきて、その美鎮山(びっちんやま)のところまで来たら、少し疲れたから、ちょっと休んでいこうとして、「ここでちょっと休もう。」と置いてね、少し休憩して、それからまた持って行こうとしたら、この石が重くなってそのまま動かなかったんですな。だから、「ああ、これはただの石じゃないんだ。これはなんと神様であった。」と言うことで、それからこの石はそこに祀っただけだった。そのころの美鎮山(びっちんやま)になったところは、大きな木の林のある山みたいなところだったが、神様の石のことを美鎮(びっちり)というから、そこも美鎮山(びっちんやま)と言うようになった。ここは昔はただ美鎮をお祀りしたところで、この道にこう小さな門があるんですよね。ここから階段式に登って上に行って、昔は大きな木の林のなかに実際この石を置いてあったらしいんですけれども、この美鎮山の神様は海の彼方から来たもんだから、漁民たちが海に縁のある神様であると言うことで、漁民は、「これは海の神様だから我々は海の仕事をきて生活をしておるんだから、そこを拝みましょう。」と言う話し合いでね、拝んだのが、漁民たちが、「そのまま粗末にしたんじゃいけない。」と言うことでちょっと集まってさ、きれいにしてね、漁民が皆ここを大事に信仰しておるような話を聞いています。これはずっと昭和の初期ぐらいじゃないかな。僕なんか小学校時代は、美鎮山(びっちんやま)ところは海にこう通ずるんところだから、泳ぎに行くときはそこを通ったですが、美鎮山を見ていませんでした。うっかりね、その美鎮山の通りはね、もともとは一八番街で、そこは料亭街ですからね、料亭街ですから、料亭に行って宴会をしたり飲んだりするでしょ。そして、美鎮山のところは、ちょうどガジマルがこう道にこうかぶっていますからね、男の人なんかはいつでも、そこに酔っ払ってきて、「ここで小便しよう。」と言ってね、美鎮山に向かって小便するんですよね。すると大変ですよ。この人はこの神様が怒ってね、そのために、その人は目の前がどこに向かってるかわからなくなって、どんどん家に帰って行くつもりが、逆に東に行ったり、下に行ったりして、家まで行くつもりが、行っても行っても家につかなくて、いつの間にか新川(あらかわ)の観音堂の手前まで行ってるんだけど、本人もわからんわけですよね。そしてまた帰るのがわからんのでね、そこの木をつかまえて、「少しもとに返るまでここで動かんでおこう。」とそこでずっと居って、一時間も二時間もそして真夜中にごろになってね、ようやく目が覚めて見たらね、村からずいぶん離れた野原(のっぱら)だとやっと気がついて、「ああ、ここはこの本道行きの道なんだ。」と、また歩いてきて家に帰ってきたそうだ。だから、「ぼくはこうこうで、こういう経験があるから、絶対ここではおしっこはするなよ。すごく神に迷わされて、東に行くか西に行くかわからなくなるようになるんだよ。」と言うそういう笑い話みたいな話があるもんですからそれだけこの美鎮山は非常に貴重な海の神様と言われています。 |
| 全体の記録時間数 | 7:31 |
| 物語の時間数 | 2:18 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |