昔、黒島(くろしま)は島の小さいわりには人口が多いために、首里王府は、「黒島は島の割りには人口が多い。石垣島の野底村(のそこむら)は密林であるけれども土地は肥えているから黒島の人を野底に移住させて、向こうから上がった収入を献上させよう。」というような計画で黒島から分村させられるときに、「それでは石垣(いしがき)の野底(のそこ)に新しい村をつくるために誰を行かすか。」ということで、黒島の島を二分してね、「これからここはそれじゃ石垣に行って新しい村をつくりなさい。」という中に、ナベヤマという家のマーペーという女の方がいてね、そのマーペーは黒島の松金(まつがね)という男と恋仲で二人は結婚することを誓いあっていた。その二人が引き裂かれて行くことになったから、島の人が琉球王府の役人に、「黒島と恋仲だから黒島においてもらえんですか。」とお願いしても、「あんたは向こうに行く。あんたは島に残る人だ。」と言われて、「そんなら、松金と一緒に行かせてください。」とマーペがお願いし、島の人も、「ああ、この二人は恋人だからなんとかして二人一緒に石垣島に移住させてもらえんか。」と再三願っても、聞いてもらえなかった。あのときの封建的思想の権力には、今では我々が考えることのできないほど絶対服従のものだから、マーペは野底にやられた。野底は悪性マラリアが流行しているところだから、マーペは、なつかしい黒島を見ようと思って毎朝野底岳に登ると、一番上の石に上がっても目の前には於茂登山という高い山があって見えないから、「自分はあんたが会えないでも黒島を山の陰から見てね、あんたの無事を祈ってここで働いているよ。」とその石の上にひざまづいて泣いて毎日祈っておるうちに石になってしまった。野底に来た黒島の人は、「マーペーがいない。」と言って皆探しに上がってきた。そのときには、マーペーはそのままに冷たい石になっておったから、その野底マーペーの記念に野底に来た人は、殿原松(とぅなばるまつ)と言う松を野底山に植えらている。
| レコード番号 | 47O341037 |
|---|---|
| CD番号 | 47O34C079 |
| 決定題名 | 野底マーぺ(共通語) |
| 話者がつけた題名 | - |
| 話者名 | 森永用長 |
| 話者名かな | もりながようちょう |
| 生年月日 | 19161222 |
| 性別 | 男 |
| 出身地 | 沖縄県石垣市字石垣 |
| 記録日 | 19980907 |
| 記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
| 元テープ番号 | 石垣市石垣 T34 A02 |
| 元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
| 分類 | 伝説 |
| 発句(ほっく) | - |
| 伝承事情 | - |
| 文字化資料 | - |
| キーワード | 黒島,人口,首里王府,石垣島,野底村,土地,肥えている,献上,ナベヤマ,マーペー,松金,恋仲,結婚,封建的思想,権力,絶対服従,悪性マラリア,野底岳,於茂登山,祈って,石,殿原松 |
| 梗概(こうがい) | 昔、黒島(くろしま)は島の小さいわりには人口が多いために、首里王府は、「黒島は島の割りには人口が多い。石垣島の野底村(のそこむら)は密林であるけれども土地は肥えているから黒島の人を野底に移住させて、向こうから上がった収入を献上させよう。」というような計画で黒島から分村させられるときに、「それでは石垣(いしがき)の野底(のそこ)に新しい村をつくるために誰を行かすか。」ということで、黒島の島を二分してね、「これからここはそれじゃ石垣に行って新しい村をつくりなさい。」という中に、ナベヤマという家のマーペーという女の方がいてね、そのマーペーは黒島の松金(まつがね)という男と恋仲で二人は結婚することを誓いあっていた。その二人が引き裂かれて行くことになったから、島の人が琉球王府の役人に、「黒島と恋仲だから黒島においてもらえんですか。」とお願いしても、「あんたは向こうに行く。あんたは島に残る人だ。」と言われて、「そんなら、松金と一緒に行かせてください。」とマーペがお願いし、島の人も、「ああ、この二人は恋人だからなんとかして二人一緒に石垣島に移住させてもらえんか。」と再三願っても、聞いてもらえなかった。あのときの封建的思想の権力には、今では我々が考えることのできないほど絶対服従のものだから、マーペは野底にやられた。野底は悪性マラリアが流行しているところだから、マーペは、なつかしい黒島を見ようと思って毎朝野底岳に登ると、一番上の石に上がっても目の前には於茂登山という高い山があって見えないから、「自分はあんたが会えないでも黒島を山の陰から見てね、あんたの無事を祈ってここで働いているよ。」とその石の上にひざまづいて泣いて毎日祈っておるうちに石になってしまった。野底に来た黒島の人は、「マーペーがいない。」と言って皆探しに上がってきた。そのときには、マーペーはそのままに冷たい石になっておったから、その野底マーペーの記念に野底に来た人は、殿原松(とぅなばるまつ)と言う松を野底山に植えらている。 |
| 全体の記録時間数 | 4:33 |
| 物語の時間数 | 4:26 |
| 言語識別 | 共通語 |
| 音源の質 | △ |
| テープ番号 | - |
| 予備項目1 | - |