ここは桃里というさ。桃里のお父さんが、役人の方からよ、「屏風山(ぺーくやま)で、馬に乗る鞍の木を探せ。」と言われて、これ探しに屏風山(ぺーくやま)にい行った。その途中に岩の所で、蛇が天に昇ろう昇ろうとしていた。この人は珍しいことだと思って岩の下のガマのところから見ていた。するとハブが涙(なだ)をそうそうと流して泣いたので、この人は自分の簪を取って目をさすと、「自分は今日はこのハブは見に来なかった。あんた見にこらなかった。村からお使いに鞍探しに馬の鞍探しにここに来たから、あんたの一生の大事に自分が来たからもうすまなかった。今自分の口からは、自分はこれ見たというのは世間の人々には言わんで置くから必ずあなたは綺麗に御天の方に昇っていらっしゃい。」と言った。その時からその人の家はもうウエキンチュ〔金持ち〕になったそうです。そしたら世の中の人様はね、「何でこの家はこんなにできるかねえ。」と思っておっても、その人はけっして言わなかったって。言わないでおるうちにもうあんまりもうお金を儲け過ぎてよ、「もう今からはもう大丈夫。」と言うておるうちに子供たちをみんな揃わして自分が言うたって。その人はね、「人間はこんな場にあるときは、人に役人様の言うときなんかはフユー(怠ける)せんでよ、行って、こんなときにあるときはもうこれはこんなこんなだよー。」て、自分のやったことはみんな聞かしたって。子供たちは喜んで聞いておったが、その夜を限りに、このハブは成功せんでその家の畑に落ちてきてだらーとしておったって。するとその家はそのときからもう家は潰れて子供たちもみんな潰れてしまった。この話はこの桃里に村にあったって言われておる。
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レコード番号 | 47O160287 |
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CD番号 | 47O16C016 |
決定題名 | 千年蛇(共通語) |
話者がつけた題名 | 桃里の蛇の話 |
話者名 | 大浜マツ |
話者名かな | おおはままつ |
生年月日 | 18880622 |
性別 | 女 |
出身地 | 大川 |
記録日 | 19750805 |
記録者の所属組織 | 沖縄口承文芸学術調査団 |
元テープ番号 | T8 大川2 A-14 |
元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
分類 | 本格昔話 |
発句(ほっく) | - |
伝承事情 | お父さんから聞いた。 |
文字化資料 | 日本昔話通観26沖縄 P295 |
キーワード | 千年蛇,昇天,ハブ |
梗概(こうがい) | ここは桃里というさ。桃里のお父さんが、役人の方からよ、「屏風山(ぺーくやま)で、馬に乗る鞍の木を探せ。」と言われて、これ探しに屏風山(ぺーくやま)にい行った。その途中に岩の所で、蛇が天に昇ろう昇ろうとしていた。この人は珍しいことだと思って岩の下のガマのところから見ていた。するとハブが涙(なだ)をそうそうと流して泣いたので、この人は自分の簪を取って目をさすと、「自分は今日はこのハブは見に来なかった。あんた見にこらなかった。村からお使いに鞍探しに馬の鞍探しにここに来たから、あんたの一生の大事に自分が来たからもうすまなかった。今自分の口からは、自分はこれ見たというのは世間の人々には言わんで置くから必ずあなたは綺麗に御天の方に昇っていらっしゃい。」と言った。その時からその人の家はもうウエキンチュ〔金持ち〕になったそうです。そしたら世の中の人様はね、「何でこの家はこんなにできるかねえ。」と思っておっても、その人はけっして言わなかったって。言わないでおるうちにもうあんまりもうお金を儲け過ぎてよ、「もう今からはもう大丈夫。」と言うておるうちに子供たちをみんな揃わして自分が言うたって。その人はね、「人間はこんな場にあるときは、人に役人様の言うときなんかはフユー(怠ける)せんでよ、行って、こんなときにあるときはもうこれはこんなこんなだよー。」て、自分のやったことはみんな聞かしたって。子供たちは喜んで聞いておったが、その夜を限りに、このハブは成功せんでその家の畑に落ちてきてだらーとしておったって。するとその家はそのときからもう家は潰れて子供たちもみんな潰れてしまった。この話はこの桃里に村にあったって言われておる。 ・ |
全体の記録時間数 | 4:35 |
物語の時間数 | 3:30 |
言語識別 | 共通語 |
音源の質 | ◎ |
テープ番号 | - |
予備項目1 | - |