ユカラピトゥキャーンギ(共通語)

概要

昔、人頭税時代は宮古は粟と宮古上布(じょうふ)ですよね。石垣は米と上布(じょうふ)とそれに物産税があるんです。その物産税は海産物とか陸産物とか、船材とか四八種類あるわけですよ。だから、宮古と八重山の人頭税の負担は同じように誤解があるけれども宮古は非常に軽く、八重山は非常に多く莫大な相違があるわけですよね。島民は、「明日もどうせ行くんだ。」と言って、足も洗わずにそのまま横になって寝てね、朝もそのまま行くと言うぐらいの苦労をしていたものでした。そういう八重山島民の苦しい時代に方言でキャーンギて言うヌマキを王府に出していたんです。この木は八重山ではあまり使われていないけどね、木の色も艶(つや)もよく水にも虫虫にも強いから、建築材としては琉球列島最高の木ですよ。このキャーギは、戦前の首里城の東側にも使われていましたな。このキャーンギは西表だけではなく八重山群島の全体から物産税として取られたわけですよ。これは、どうも薩摩が要求したんではなくてね、琉球王国が薩摩の政策に便乗して木を集めたんじゃないかと思うんですよね。この首里王府に上納するキャーンギは、一三尺〔約四㍍〕の真っ直ぐが木で、角がしっかりしておらんといかんわけよね。角が切れているのをハードーリって言って、検収官は、「角が切れておる。」と言って絶対に許さなかった。少しで曲がっていると角材にしたときに総て四角にはならずに、ハードーリになるわけですよね。そのころに石垣島の於茂登山(おもとやま)山系やいろんなの中のキャーンギは全部切り尽くされたから、今でもキャーンギないです。琉球王府はその八重山のキャーンギで、首里にキャーンギ御殿(うどぅん)という見事な御殿を建てたそうだ。ところがキャーンギが取り尽くされた後で川平から見事なキャーンギが出てきた。それで検収官がびっくりしてね、「おお、これは珍しい。」と言って何回か受け取った。川平から出されたキャーンギは本当のキャーンギじゃなかったのに、キャーンギだと言って検収官を誤魔化した。どうして誤魔化したかというと、この木は山に生えておるときは葉も枝も全然本当のキャーンギとは違うが、切って葉も枝もみんな落として皮を剥くと、まったくキャーンギと同じで専門の大工でも見分けが付かないナギと言う木だった。これを切って枝葉を落として角材にして、恐る恐る持って行って出したら検収官が見てね、「おお、これはなかなか立派なもんだ。」と言って受け取った。それで、このナギの木のことを八重山ではユカラピトゥキャーンギと言っていたわけさ。ユカラピトと言うのは士族と言う意味で、士族がキャーンギと認めた木と言う名前を付けてね、琉球王国の検収官をうまく騙(だま)しという意味があるんだよね。そういう面白い話もあるんですよ。

再生時間:6:06

民話詳細DATA

レコード番号 47O340811
CD番号 47O34C062
決定題名 ユカラピトゥキャーンギ(共通語)
話者がつけた題名
話者名 牧野清
話者名かな まきのきよし
生年月日 19100519
性別
出身地 沖縄県石垣市字登野城
記録日 19970913
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 石垣市登野城 T07 B02
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 伝説
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料
キーワード 人頭税,宮古,粟,宮古上布,石垣,米,物産税,海産物,陸産物,船材,四八種類,八重山,島民,キャーンギ,ヌマキ,王府,球列島最高の木,首里城,西表,薩摩,一三尺,ハードーリ,検収官,於茂登山,切り尽くされたか,キャーンギ御殿,川平,誤魔化した,ナギ,ユカラピトゥキャーンギ,士族
梗概(こうがい) 昔、人頭税時代は宮古は粟と宮古上布(じょうふ)ですよね。石垣は米と上布(じょうふ)とそれに物産税があるんです。その物産税は海産物とか陸産物とか、船材とか四八種類あるわけですよ。だから、宮古と八重山の人頭税の負担は同じように誤解があるけれども宮古は非常に軽く、八重山は非常に多く莫大な相違があるわけですよね。島民は、「明日もどうせ行くんだ。」と言って、足も洗わずにそのまま横になって寝てね、朝もそのまま行くと言うぐらいの苦労をしていたものでした。そういう八重山島民の苦しい時代に方言でキャーンギて言うヌマキを王府に出していたんです。この木は八重山ではあまり使われていないけどね、木の色も艶(つや)もよく水にも虫虫にも強いから、建築材としては琉球列島最高の木ですよ。このキャーギは、戦前の首里城の東側にも使われていましたな。このキャーンギは西表だけではなく八重山群島の全体から物産税として取られたわけですよ。これは、どうも薩摩が要求したんではなくてね、琉球王国が薩摩の政策に便乗して木を集めたんじゃないかと思うんですよね。この首里王府に上納するキャーンギは、一三尺〔約四㍍〕の真っ直ぐが木で、角がしっかりしておらんといかんわけよね。角が切れているのをハードーリって言って、検収官は、「角が切れておる。」と言って絶対に許さなかった。少しで曲がっていると角材にしたときに総て四角にはならずに、ハードーリになるわけですよね。そのころに石垣島の於茂登山(おもとやま)山系やいろんなの中のキャーンギは全部切り尽くされたから、今でもキャーンギないです。琉球王府はその八重山のキャーンギで、首里にキャーンギ御殿(うどぅん)という見事な御殿を建てたそうだ。ところがキャーンギが取り尽くされた後で川平から見事なキャーンギが出てきた。それで検収官がびっくりしてね、「おお、これは珍しい。」と言って何回か受け取った。川平から出されたキャーンギは本当のキャーンギじゃなかったのに、キャーンギだと言って検収官を誤魔化した。どうして誤魔化したかというと、この木は山に生えておるときは葉も枝も全然本当のキャーンギとは違うが、切って葉も枝もみんな落として皮を剥くと、まったくキャーンギと同じで専門の大工でも見分けが付かないナギと言う木だった。これを切って枝葉を落として角材にして、恐る恐る持って行って出したら検収官が見てね、「おお、これはなかなか立派なもんだ。」と言って受け取った。それで、このナギの木のことを八重山ではユカラピトゥキャーンギと言っていたわけさ。ユカラピトと言うのは士族と言う意味で、士族がキャーンギと認めた木と言う名前を付けてね、琉球王国の検収官をうまく騙(だま)しという意味があるんだよね。そういう面白い話もあるんですよ。
全体の記録時間数 6:19
物語の時間数 6:06
言語識別 共通語
音源の質
テープ番号
予備項目1

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