背負いくらべ(共通語)

概要

昔、山猪と蛙が出会ったらしいですよ。山猪が蛙に、「よし、今日はわしらは何か競走をしようか。」と言うたらしい。蛙は猪のようには走れないから黙っていたら、山猪がまた言うたんですよ。「よし、君と二人で向こうの小山の麓(ふもと)までおんぶして走って、どっち勝つか比べてみよう。」って言いだしたんですよ。だから、蛙も、「やりましょう。」言うとよ、山猪は、「よし、そんならあんたを乗せて向こうの山山の麓まで行こう。今日は私から初めるよ。あんたは私の背中に乗りなさい。」と言うて山猪が蛙を乗せて走ったらしい。山猪はものすごい勢いで走るからびっくりして蛙は落ちないように山猪の毛をこう掴(つか)まえて、「ほう、よう走るなあ。」とびっくりしとるんですよ。そしたら、「はい、終点ですよ。今度は蛙の番だよ。」て山猪が言うとる。蛙は猪ほどは走れてないから、どうしようかなと考えていたけど、「よし、私に知恵がある。」って思ってよ、「よし、それではやりましょう。」て、自分の背中に山猪を乗せたんですよ。そして、「はい、乗りなさい。走るから風上に向かって座ってあんたは天の雲を見てください。下を見ていかんよ。」と言うから、猪は蛙に乗って天の雲ばかり見ていると、ものすごい勢いで雲がパッパッパって走るからよ、山猪は驚いてよ、「おお、よう走るな。よう走る、よう走る。私より速い、あんたはとても速い。」て言うて喜んでるんですよ。「はい、終点ですよ。」と蛙が言うから、山猪が降りたら同じところなんですよ。なんでかって言ったら雲が反対に走っとるから、蛙が走っているように見えたんです。山猪は、「ようし、よくも私を騙(だま)したな。承知はしない。」と言うて、自分の足で蛙を踏んだんですよ。蛙の腰は山猪がこのとき足で踏んだから腰が曲がっとる。そしたら蛙は、「私はあんたを乗せて歩けんのから、こうやったんです。その代わりあなたに恩返しをやります。」と言ってるんですよ。「どんなことをやるのかな。」と山猪が考えとったら、「あなたが食べる植物があるところで、私たちみんながグワァ、グワァ、グワァと呼ぶから、皆と来て食べて下さい。私はこれだけしか恩返しはできない。」って言うんですよ。「そうか。」と山猪は蛙を許したんです。だから蛙が鳴くところにはよ、山猪の食べる植物が必ずあるから、山猪は蛙の鳴くところ必ず探してる。米を収穫する田んぼでは、ここにも山猪の食べ物があるって、蛙がグワァ、グワァ、グワァって鳴くから、山猪が来て米をみんな食べたって。それで、田んぼの稲の最中には、蛙が鳴くところは山猪が皆食べに来るうになったってことですよ。これは祖父さん、祖母さんから教わったお話ですよ。

再生時間:3:47

民話詳細DATA

レコード番号 47O340758
CD番号 47O34C059
決定題名 背負いくらべ(共通語)
話者がつけた題名 山猪と蛙の走り競争
話者名 川平永美
話者名かな かびらえいび
生年月日 19030218
性別
出身地 沖縄県竹富町網取
記録日 19970912
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 石垣市登野城 T03 A06
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 動物昔話
発句(ほっく)
伝承事情 お祖父さん、お祖母さんから聞いた
文字化資料 石垣島の民話 P186
キーワード 山猪,蛙,競走,走れない,おんぶして,知恵,天の雲,騙した,恩返し,鳴く,田んぼ
梗概(こうがい) 昔、山猪と蛙が出会ったらしいですよ。山猪が蛙に、「よし、今日はわしらは何か競走をしようか。」と言うたらしい。蛙は猪のようには走れないから黙っていたら、山猪がまた言うたんですよ。「よし、君と二人で向こうの小山の麓(ふもと)までおんぶして走って、どっち勝つか比べてみよう。」って言いだしたんですよ。だから、蛙も、「やりましょう。」言うとよ、山猪は、「よし、そんならあんたを乗せて向こうの山山の麓まで行こう。今日は私から初めるよ。あんたは私の背中に乗りなさい。」と言うて山猪が蛙を乗せて走ったらしい。山猪はものすごい勢いで走るからびっくりして蛙は落ちないように山猪の毛をこう掴(つか)まえて、「ほう、よう走るなあ。」とびっくりしとるんですよ。そしたら、「はい、終点ですよ。今度は蛙の番だよ。」て山猪が言うとる。蛙は猪ほどは走れてないから、どうしようかなと考えていたけど、「よし、私に知恵がある。」って思ってよ、「よし、それではやりましょう。」て、自分の背中に山猪を乗せたんですよ。そして、「はい、乗りなさい。走るから風上に向かって座ってあんたは天の雲を見てください。下を見ていかんよ。」と言うから、猪は蛙に乗って天の雲ばかり見ていると、ものすごい勢いで雲がパッパッパって走るからよ、山猪は驚いてよ、「おお、よう走るな。よう走る、よう走る。私より速い、あんたはとても速い。」て言うて喜んでるんですよ。「はい、終点ですよ。」と蛙が言うから、山猪が降りたら同じところなんですよ。なんでかって言ったら雲が反対に走っとるから、蛙が走っているように見えたんです。山猪は、「ようし、よくも私を騙(だま)したな。承知はしない。」と言うて、自分の足で蛙を踏んだんですよ。蛙の腰は山猪がこのとき足で踏んだから腰が曲がっとる。そしたら蛙は、「私はあんたを乗せて歩けんのから、こうやったんです。その代わりあなたに恩返しをやります。」と言ってるんですよ。「どんなことをやるのかな。」と山猪が考えとったら、「あなたが食べる植物があるところで、私たちみんながグワァ、グワァ、グワァと呼ぶから、皆と来て食べて下さい。私はこれだけしか恩返しはできない。」って言うんですよ。「そうか。」と山猪は蛙を許したんです。だから蛙が鳴くところにはよ、山猪の食べる植物が必ずあるから、山猪は蛙の鳴くところ必ず探してる。米を収穫する田んぼでは、ここにも山猪の食べ物があるって、蛙がグワァ、グワァ、グワァって鳴くから、山猪が来て米をみんな食べたって。それで、田んぼの稲の最中には、蛙が鳴くところは山猪が皆食べに来るうになったってことですよ。これは祖父さん、祖母さんから教わったお話ですよ。
全体の記録時間数 3:58
物語の時間数 3:47
言語識別 共通語
音源の質
テープ番号
予備項目1

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