鹿川のワニ退治(共通語)

概要

浦内川の上にマユルドという大きな水ごもり(淵)があって、そこに鰐が住んでいたらしいんですよ。うちの隣の人は猟師だったがね、その人の話では冬になると怪我をした鴨は池で死んどるふりをするってよ。だから鴨を捕るために犬を連れて行くんですよ。ところが犬が行って池の鴨を捕ろうとすると何か大きなヤモリみたいなものに食われて行方不明になるんですよ。だから、池の死んどるふりをしている鴨を捕りに行くときには必ず犬を落として自分が行っても大丈夫か見てからやっとったわけさ。そのうちに子供が食べられたと。そいつがこの池で成長して次第しだいに川に下りて浦内川に下りると出口に白浜があるんですよ。そこの白浜に住んで寝ていたから白浜には鰐の身体の跡が残っていたんですよ。その白浜から出て外離(そとぱなり)に行くとそこにも白浜があるからそこにいたから、そこの跡にも鱗もあるらしいな。それから外離(そとぱなり)から出て網取の西の方の白浜に行ったから、またあそこにも似た跡があるんですよ。珍しいなと思っていたら網取の白浜から出て崎山より西の野浜というところにも似た跡があるんですよ。その跡がだんだん大きくなるから、「これはなんとかしなきゃ。」って言っていて、ベーグーって言う高い石の近くに大きな平石(ぴしゃいし)やウビラ石って言うのもあって、また、そこにハテルク石と言って波照間を食べる石とあだ名が付いた岩もあるんです。その近辺に魚がようおるから、「今日は天気もよいからベーグーに魚取りに行こう。」って皆を誘ってきて網を入れたらその網の中に大きなヤモリみたいのが泳いどるもんだから、「こいつが魚を食っている。こいつを捕るから槍とか銛とかああいうのを皆集めてこい。」って上の人が言うたわけ。そうかと皆喜んでいっぱい道具を集めてきて、「ようし、こんなこれだけあれば大丈夫だ。潮が干いたら槍で突いてこいつを捕まえる。」って待ち構えて潮が干くのを待っとたんですよ。潮が干いたから我先に皆競争して槍で突いたら、体に刺した槍が折れて入らんですよ。また次も折れる。みんな折れた。折れた槍が刺さっていても、このヤモリは怒って暴れてかかってくるんですよ。「こいつは岩の上に上がりきらんだろう。」と思って岩に上がったら、こいつがどんなに上でもどんどん上がって来る。「はあ、今日これでは大変だなあ。俺たちは食われるよ。」と言っていたら、大力の大久と言う人が大変太くて五尺くらいな丸太があったらしい。それを拾ってきてこれで殴ったら、そいつはガランと曲がって転んだから皆が退治して鹿川に持ってったらよ、鹿川に来ていた旅人がこれを見て、「これはヤモリでない、これ鰐と言うものだ。」と言うから初めて鰐と分かったんだ。その鰐の腹を開けてみたら卵がいっぱいだった。その卵をどうしようかと思って、「こいつは人食いのだから、こいつの卵を食べたら人の子も泥棒もみんな一緒に食べることになる。」と言っていると、今度は旅人が、「いや、子供を食べていてもこの卵を食べることが鰐を食べて退治することになる。」と言ったからその卵を食べたと鹿川の祖父さんが私に聞かせてくれたよ。

再生時間:8:18

民話詳細DATA

レコード番号 47O340741
CD番号 47O34C057
決定題名 鹿川のワニ退治(共通語)
話者がつけた題名
話者名 川平永美
話者名かな かびらえいび
生年月日 19030218
性別
出身地 沖縄県竹富町網取
記録日 19960913
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 石垣市登野城 T01 A02
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 伝説
発句(ほっく)
伝承事情 鹿川の祖父さんに聞いた
文字化資料
キーワード 浦内川,マユルド,水ごもり,淵,鰐,猟師,鴨,犬,大きなヤモリみたいなもの,食われて,行方不明,子供,白浜,身体の跡,外離,鱗,網取,崎山,野浜,大きくなる,ベーグー,平石,ウビラ石,ハテルク石,魚取り,網,槍,銛と,潮,折れる,大力の大久,五尺くらいな丸太,殴った,退治,鹿川,旅人,卵
梗概(こうがい) 浦内川の上にマユルドという大きな水ごもり(淵)があって、そこに鰐が住んでいたらしいんですよ。うちの隣の人は猟師だったがね、その人の話では冬になると怪我をした鴨は池で死んどるふりをするってよ。だから鴨を捕るために犬を連れて行くんですよ。ところが犬が行って池の鴨を捕ろうとすると何か大きなヤモリみたいなものに食われて行方不明になるんですよ。だから、池の死んどるふりをしている鴨を捕りに行くときには必ず犬を落として自分が行っても大丈夫か見てからやっとったわけさ。そのうちに子供が食べられたと。そいつがこの池で成長して次第しだいに川に下りて浦内川に下りると出口に白浜があるんですよ。そこの白浜に住んで寝ていたから白浜には鰐の身体の跡が残っていたんですよ。その白浜から出て外離(そとぱなり)に行くとそこにも白浜があるからそこにいたから、そこの跡にも鱗もあるらしいな。それから外離(そとぱなり)から出て網取の西の方の白浜に行ったから、またあそこにも似た跡があるんですよ。珍しいなと思っていたら網取の白浜から出て崎山より西の野浜というところにも似た跡があるんですよ。その跡がだんだん大きくなるから、「これはなんとかしなきゃ。」って言っていて、ベーグーって言う高い石の近くに大きな平石(ぴしゃいし)やウビラ石って言うのもあって、また、そこにハテルク石と言って波照間を食べる石とあだ名が付いた岩もあるんです。その近辺に魚がようおるから、「今日は天気もよいからベーグーに魚取りに行こう。」って皆を誘ってきて網を入れたらその網の中に大きなヤモリみたいのが泳いどるもんだから、「こいつが魚を食っている。こいつを捕るから槍とか銛とかああいうのを皆集めてこい。」って上の人が言うたわけ。そうかと皆喜んでいっぱい道具を集めてきて、「ようし、こんなこれだけあれば大丈夫だ。潮が干いたら槍で突いてこいつを捕まえる。」って待ち構えて潮が干くのを待っとたんですよ。潮が干いたから我先に皆競争して槍で突いたら、体に刺した槍が折れて入らんですよ。また次も折れる。みんな折れた。折れた槍が刺さっていても、このヤモリは怒って暴れてかかってくるんですよ。「こいつは岩の上に上がりきらんだろう。」と思って岩に上がったら、こいつがどんなに上でもどんどん上がって来る。「はあ、今日これでは大変だなあ。俺たちは食われるよ。」と言っていたら、大力の大久と言う人が大変太くて五尺くらいな丸太があったらしい。それを拾ってきてこれで殴ったら、そいつはガランと曲がって転んだから皆が退治して鹿川に持ってったらよ、鹿川に来ていた旅人がこれを見て、「これはヤモリでない、これ鰐と言うものだ。」と言うから初めて鰐と分かったんだ。その鰐の腹を開けてみたら卵がいっぱいだった。その卵をどうしようかと思って、「こいつは人食いのだから、こいつの卵を食べたら人の子も泥棒もみんな一緒に食べることになる。」と言っていると、今度は旅人が、「いや、子供を食べていてもこの卵を食べることが鰐を食べて退治することになる。」と言ったからその卵を食べたと鹿川の祖父さんが私に聞かせてくれたよ。
全体の記録時間数 8:40
物語の時間数 8:18
言語識別 共通語
音源の質
テープ番号
予備項目1

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