猿長者(方言)

さるちょうじゃ

概要

 あるところに、非常な金持ちの爺ちゃんと婆ちゃんとが一方はおられて、また一方はもう非常に貧乏者
で、何もない、もう普通暮らすことも出来ない貧乏者の爺ちゃんと婆ちゃんといらっしゃって、普通そんな
に暮らしておるうちには、あるとき、この人はもうただの人ではない、天から降りていらっしゃった、もう
神様らしいの人であったらしい。その人が、始めはこの金持ちの家から、「自分はどこどこに行くつもりで
来たが、もう日が暮れてもう行くことは出来ないから、どうぞあなたの家を貸してくれ。」と言う、頼まれ
たから、あの金持ちの家は、「いや、家は。」その日はまた、晦日、大晦日の日であって、「そういう大晦
日の日に、家、人の宿を借りるということは、そんなにどこのピンソンか。」と言うて非常にもう言うたら
しい。だからその爺さんは、「もう、それじゃいい。」と言って、また今度は、貧乏ヤーのお爺さん婆さん
家に行って、「それじゃあ、うちも、どこどこに旅行に行くが、日が暮れてもう行けない。どうぞあなたの
うちをもう今晩は貸してくれ。」と頼んだからその爺ちゃん婆ちゃんは、「家はもう見苦しい。どうしても
こんなところにもう年寄りを寝かすということは心が休まれないから、どこかにもう、いいところがあるん
じゃないか。」と(聞き取り不能)が言うたら、「いや。」この爺さんは、「どういうところでもいい。も
う寝れさえばもういいから、あなたのうちを貸してくれ。」と言ったから、「それじゃ、もうお泊まりなさ
い。」と言って、もうその家にもう泊まるようになって、その先は、また、あ、大晦日の日であった。あっ
たから、その、「オヤケヤーの家に行ったときは、もうその家はもう盛大にご馳走も準備して、みんな年も
取っておる。あなたの家はなんでただ寂しくそんなに、もう、物とない。どんなにしてあなたたちはえー、
お正月をやるつもり年を取るつもりか。」と尋ねたなら、「いや何もないからして(聞き取り不能)思いし
てもう普通のお正月をやっておるよ、爺さん。」と言ったから、「そうか。」と言って、その人はもう聞き
なさって、「もうそれじゃ、もうかまに鍋をつけなさい。」と言われて、それじゃ、もう鍋をかまどに火も
つけさして、準備させてから自分のふ、袋らしいものから、何かもう手で出して、そして、それに入れたら
非常なもう食べ、おいし、おいしいご馳走が出てきて、「それでもうあんたちもう年を取りなさい。」と言
われたから、それでもう爺ちゃん婆ちゃんは年を取って、もう後で、「あんたたちは何が欲しいか。」とお
っしゃったので、「いやうちは何も欲しくはない。もう、この自分たちはもう八十にもなっておる。過ぎて
おるから、若くなるのがもう一番のもうすきです。頼みです。」と言うたので、「ああそうか。」と聞きな
さって、それから、「それじゃもう、あなたたち二人まで来なさい。」と言って、座らしてこっちでもう、
まじない、ちょうどお経らしいものあげられて、その二人の前でやられて、それで後で、「明日、今晩寝て
起きたらあなたたちは若くなるから。」といって、爺さんら言われたから、「あ、そうですか。」と言って
、聞き、聞いて、「それじゃもう、明日の朝は若くなってからあの金持ちの家に行って、あんた二人行って
。もうお正月は(聞き取り不能)するでしょ。それを若くなってもうありがとう言ってもう行ってきなさい
。」と言われて、あの爺さんは戻られたから、自分らは、「それじゃ、もう、そうしましょう。」と言うて
寝て、今晩寝て、起きて、もう翌日の朝、もうその金持ちのうちの行って、「もうよく正月やってもらって
、私らも若くなって。」と言って、もう年頭したから、そのうちの爺ちゃん婆ちゃんは、「どうしてあなら
たはもう昨日まで爺ちゃん婆ちゃんであったのが、そんなにもう三十ぐらい、三十過ぎである青年みたいな
、もう年になったか。」と尋ねたから、「いや、実はもう、夕べいらっしゃった、あの着物も破れてが着け
てた爺さんが、髭もこのぐらいたらした爺さんが、いらっしゃった。」ってこういうことを言われたから、
「もう私も泊まらしておいた、あったので、その爺さんがこんなにまで立派に若くなしてあらるるよー。」
と言って、言うたから、このまた金持ちの爺さん婆ちゃんは、「それじゃもう、私達も行って、また、おろ
、その爺さん、爺さんは頼みして若くしてくんちゃーならい。」と言って覚悟で、「どころ、それじゃー行
かれかたかなー。」と言ったから、「いいよもう遠くは行かれない筈よー。」と言ったから、その人を追い
つけて行って、もうあの人に、「はー、もう私らも若くなしてちょうだい。爺さん。」と言う。頼んだから
、「それじゃもう若くなしてくれるから、もうあなた二人、こっちに来てもう座りなさい。」と座、座らし
てもう(聞き取り不能)やってからもう(聞き取り不能)もう何と言う(聞き取り不能)そういって呼んで
、「明日またあんたたちも寝てから起きたら、立派なもう若くなるから、もうそうしなさい。」と言われた
ので、その爺ちゃん婆ちゃんは戻って来て、その爺ちゃん、さえじに(聞き取り不能)爺ちゃんな、もう天
から神様だな、その人がもう言われたとおりやって、寝て起きたら、もう一人は猿になるし、一人は、もう
鳥になって、もう猿もまたこの爺ちゃんの声で、「主の猿は自分のうちだよ。」と言って、「こっちにもう
、まぐってくるはずだから、確かこの瓦わなというものを焼いて、この置いたら、この猿は確かこっち来て
座るから。」と言われたからちょうどその人に言われたとおり瓦をもう非常に焼いて持って行って置いてる
うちには、猿はじ、本当にもう言われたとおり、こっちに座って、もうだからして猿のちびはもう、尻は焼
かれて黒くなっておるという話です。

再生時間:6:08

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民話詳細DATA

レコード番号 47O160104
CD番号 47O16C007
決定題名 猿長者(方言)
話者がつけた題名
話者名 黒島善周
話者名かな くろしまぜんしゅう
生年月日 18990223
性別
出身地
記録日 19750805
記録者の所属組織 沖縄口承文芸学術調査団
元テープ番号 T01 登野城1 A-03
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 本格昔話
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料 日本昔話通観第26巻 P48
キーワード 大みそか,金持ち老夫婦,貧乏な老夫婦,神,若返り,猿
梗概(こうがい)  あるところに、非常な金持ちの爺ちゃんと婆ちゃんとが一方はおられて、また一方はもう非常に貧乏者 で、何もない、もう普通暮らすことも出来ない貧乏者の爺ちゃんと婆ちゃんといらっしゃって、普通そんな に暮らしておるうちには、あるとき、この人はもうただの人ではない、天から降りていらっしゃった、もう 神様らしいの人であったらしい。その人が、始めはこの金持ちの家から、「自分はどこどこに行くつもりで 来たが、もう日が暮れてもう行くことは出来ないから、どうぞあなたの家を貸してくれ。」と言う、頼まれ たから、あの金持ちの家は、「いや、家は。」その日はまた、晦日、大晦日の日であって、「そういう大晦 日の日に、家、人の宿を借りるということは、そんなにどこのピンソンか。」と言うて非常にもう言うたら しい。だからその爺さんは、「もう、それじゃいい。」と言って、また今度は、貧乏ヤーのお爺さん婆さん 家に行って、「それじゃあ、うちも、どこどこに旅行に行くが、日が暮れてもう行けない。どうぞあなたの うちをもう今晩は貸してくれ。」と頼んだからその爺ちゃん婆ちゃんは、「家はもう見苦しい。どうしても こんなところにもう年寄りを寝かすということは心が休まれないから、どこかにもう、いいところがあるん じゃないか。」と(聞き取り不能)が言うたら、「いや。」この爺さんは、「どういうところでもいい。も う寝れさえばもういいから、あなたのうちを貸してくれ。」と言ったから、「それじゃ、もうお泊まりなさ い。」と言って、もうその家にもう泊まるようになって、その先は、また、あ、大晦日の日であった。あっ たから、その、「オヤケヤーの家に行ったときは、もうその家はもう盛大にご馳走も準備して、みんな年も 取っておる。あなたの家はなんでただ寂しくそんなに、もう、物とない。どんなにしてあなたたちはえー、 お正月をやるつもり年を取るつもりか。」と尋ねたなら、「いや何もないからして(聞き取り不能)思いし てもう普通のお正月をやっておるよ、爺さん。」と言ったから、「そうか。」と言って、その人はもう聞き なさって、「もうそれじゃ、もうかまに鍋をつけなさい。」と言われて、それじゃ、もう鍋をかまどに火も つけさして、準備させてから自分のふ、袋らしいものから、何かもう手で出して、そして、それに入れたら 非常なもう食べ、おいし、おいしいご馳走が出てきて、「それでもうあんたちもう年を取りなさい。」と言 われたから、それでもう爺ちゃん婆ちゃんは年を取って、もう後で、「あんたたちは何が欲しいか。」とお っしゃったので、「いやうちは何も欲しくはない。もう、この自分たちはもう八十にもなっておる。過ぎて おるから、若くなるのがもう一番のもうすきです。頼みです。」と言うたので、「ああそうか。」と聞きな さって、それから、「それじゃもう、あなたたち二人まで来なさい。」と言って、座らしてこっちでもう、 まじない、ちょうどお経らしいものあげられて、その二人の前でやられて、それで後で、「明日、今晩寝て 起きたらあなたたちは若くなるから。」といって、爺さんら言われたから、「あ、そうですか。」と言って 、聞き、聞いて、「それじゃもう、明日の朝は若くなってからあの金持ちの家に行って、あんた二人行って 。もうお正月は(聞き取り不能)するでしょ。それを若くなってもうありがとう言ってもう行ってきなさい 。」と言われて、あの爺さんは戻られたから、自分らは、「それじゃ、もう、そうしましょう。」と言うて 寝て、今晩寝て、起きて、もう翌日の朝、もうその金持ちのうちの行って、「もうよく正月やってもらって 、私らも若くなって。」と言って、もう年頭したから、そのうちの爺ちゃん婆ちゃんは、「どうしてあなら たはもう昨日まで爺ちゃん婆ちゃんであったのが、そんなにもう三十ぐらい、三十過ぎである青年みたいな 、もう年になったか。」と尋ねたから、「いや、実はもう、夕べいらっしゃった、あの着物も破れてが着け てた爺さんが、髭もこのぐらいたらした爺さんが、いらっしゃった。」ってこういうことを言われたから、 「もう私も泊まらしておいた、あったので、その爺さんがこんなにまで立派に若くなしてあらるるよー。」 と言って、言うたから、このまた金持ちの爺さん婆ちゃんは、「それじゃもう、私達も行って、また、おろ 、その爺さん、爺さんは頼みして若くしてくんちゃーならい。」と言って覚悟で、「どころ、それじゃー行 かれかたかなー。」と言ったから、「いいよもう遠くは行かれない筈よー。」と言ったから、その人を追い つけて行って、もうあの人に、「はー、もう私らも若くなしてちょうだい。爺さん。」と言う。頼んだから 、「それじゃもう若くなしてくれるから、もうあなた二人、こっちに来てもう座りなさい。」と座、座らし てもう(聞き取り不能)やってからもう(聞き取り不能)もう何と言う(聞き取り不能)そういって呼んで 、「明日またあんたたちも寝てから起きたら、立派なもう若くなるから、もうそうしなさい。」と言われた ので、その爺ちゃん婆ちゃんは戻って来て、その爺ちゃん、さえじに(聞き取り不能)爺ちゃんな、もう天 から神様だな、その人がもう言われたとおりやって、寝て起きたら、もう一人は猿になるし、一人は、もう 鳥になって、もう猿もまたこの爺ちゃんの声で、「主の猿は自分のうちだよ。」と言って、「こっちにもう 、まぐってくるはずだから、確かこの瓦わなというものを焼いて、この置いたら、この猿は確かこっち来て 座るから。」と言われたからちょうどその人に言われたとおり瓦をもう非常に焼いて持って行って置いてる うちには、猿はじ、本当にもう言われたとおり、こっちに座って、もうだからして猿のちびはもう、尻は焼 かれて黒くなっておるという話です。 ・
全体の記録時間数 6:21
物語の時間数 6:08
言語識別 方言
音源の質
テープ番号
予備項目1

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