ぐすくまなーか おおどしのぬすっと
昔、大晦日にはマルチャジシを仏壇に供えていた。首里の貧乏人の子供が「隣近所は正月だといって沢山の肉を買って来るのに私達は貝に行かないのか」と父親にせがんだ。その家は貧乏で金がなかったため、父親は「買ってくるさ、買って来るさ」と言って子供をなだめていた。いよいよ、大歳の夜になったので、その貧乏人は「城間仲から盗んで来ない限り肉はないと思って、城間仲の家に後から入って行って裏座の瓶の側に隠れていた。城間仲の家の人達がいよいよマルチャジシを食べる時に、三人いたので妻は三人分作って運んだ。すると、城間仲が「もう一人分作って来なさい」と言うので、妻は「ここに三人分作ってあるのに」と答えると、「私が作って来なさいと言っているのに、何やかにゃ言うな」と城間仲は言った。それで妻は怒って「はい、作ってきたよ」と言って夕飯をもう一つ置く時に、泥棒はそれを聞いていた。そして、城間仲は裏座に入って行くと、「あんたがここにいる事は夕方から知っていた。お前も聞いたはずだが、あんたの分も夕飯を作ってあるのから一緒にここで食べよう。肉を取りに来たんだろうから、肉も持たせてやるよ」と泥棒に言った。泥棒は「実は、私は首里の者だが、『隣近所は正月の肉を買いに行くのに私の家は買わないのか』と、子供達に言われて、田舎の金持ちは城間仲と聞いていたので、肉を盗みに来ました」と言った。城間仲は「よく分かった」と言って、その人に肉を持たせてやった。その泥棒は後で成功して七月、正月は今でも子供達にそのことを伝えて城間仲の家に線香をあげに来るそうだ。それから「あるなーか城間仲」と言って、城間仲の財産は減らないそうだ。
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レコード番号 | 47O417517 |
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CD番号 | 47O41C380 |
決定題名 | 城間仲 大歳の盗人(シマグチ) |
話者がつけた題名 | 城間仲 大歳の盗人 |
話者名 | 島袋盛善 |
話者名かな | しまぶくろせいぜん |
生年月日 | 19100831 |
性別 | 男 |
出身地 | 宜野湾市神山 |
記録日 | 19800228 |
記録者の所属組織 | 沖縄国際大学口承研 |
元テープ番号 | 宜野湾T24A09 |
元テープ管理者 | 沖縄伝承話資料センター |
分類 | 伝説 |
発句(ほっく) | - |
伝承事情 | 大見謝先生から聞いた。 |
文字化資料 | - |
キーワード | 大晦日,マルチャジシ,首里の貧乏人の子供,城間仲,泥棒,城間仲の財産は減らない |
梗概(こうがい) | 昔、大晦日にはマルチャジシを仏壇に供えていた。首里の貧乏人の子供が「隣近所は正月だといって沢山の肉を買って来るのに私達は貝に行かないのか」と父親にせがんだ。その家は貧乏で金がなかったため、父親は「買ってくるさ、買って来るさ」と言って子供をなだめていた。いよいよ、大歳の夜になったので、その貧乏人は「城間仲から盗んで来ない限り肉はないと思って、城間仲の家に後から入って行って裏座の瓶の側に隠れていた。城間仲の家の人達がいよいよマルチャジシを食べる時に、三人いたので妻は三人分作って運んだ。すると、城間仲が「もう一人分作って来なさい」と言うので、妻は「ここに三人分作ってあるのに」と答えると、「私が作って来なさいと言っているのに、何やかにゃ言うな」と城間仲は言った。それで妻は怒って「はい、作ってきたよ」と言って夕飯をもう一つ置く時に、泥棒はそれを聞いていた。そして、城間仲は裏座に入って行くと、「あんたがここにいる事は夕方から知っていた。お前も聞いたはずだが、あんたの分も夕飯を作ってあるのから一緒にここで食べよう。肉を取りに来たんだろうから、肉も持たせてやるよ」と泥棒に言った。泥棒は「実は、私は首里の者だが、『隣近所は正月の肉を買いに行くのに私の家は買わないのか』と、子供達に言われて、田舎の金持ちは城間仲と聞いていたので、肉を盗みに来ました」と言った。城間仲は「よく分かった」と言って、その人に肉を持たせてやった。その泥棒は後で成功して七月、正月は今でも子供達にそのことを伝えて城間仲の家に線香をあげに来るそうだ。それから「あるなーか城間仲」と言って、城間仲の財産は減らないそうだ。 |
全体の記録時間数 | 6:18 |
物語の時間数 | 6:11 |
言語識別 | 方言 |
音源の質 | ◎ |
テープ番号 | - |
予備項目1 | - |