モーイ親方(共通語)

概要

伊野波殿内といって親は親方で、子供はもっと頭が良くて、モーイという名であった。このモーイは沖縄名は伊野波モーイと呼ばれ、昼は馬鹿みたいにして、頭もきれいに結わずにいたが、夜は床下でお線香をつけてフクギの葉で勉強していた。
ある日、学校に行く時に、蛙を見た。その蛙は頭にヌブシの玉を持っていたので、それが珍しくて先生に見せようと手のひらに乗せて行く途中に転んで、それを飲みこんでしまった。それを学校に行って先生に話した。先生はモーイが頭がいいのが分かっており、これは本当の人間ではないと思って感心した。
親の友達の摩文仁親方が交際して家に来ていたが、お前は馬鹿だから行けといつも追い払われていた。モーイは親に、「お前はあまりタバコを吸うから一日に一回しか吸ってはいけない」と言われた。そう言われると、モーイは大変真面目なので、「はい」と答えた。そしてこのタバコを一袋、一皿に入れて飲んでいたら、煙がひどく出て、「伊野波殿内が火事だ」とあちこち騒いだ。それで親に叱られて、「どうしてお前はよけいにタバコを飲んでこんなに大煙を出したのか」と聞かれた。すると、モーイが「お父さんが一日に一回にしなさいと言ったので、いっぺんに飲んだ」と言ったので、お父さんは一本やられた。
用事に出る時も、モーイは真面目なので、母親の言うことも父親の言うこともよく聞いた。お父さんが「お前はどこかに行く時には下駄をはいて行くんだよ」と言い、お母さんは「お前はどこかに行く時にはぞうりを履いて行くんだよ」と言ったので、モーイは真面目だからその二つを履いて城の前を通った。それを首里に出勤仲の摩文仁親方が見て、「モーイ、何故、片方は下駄、片方はぞうりを履いているのか」と聞いた。モーイは「出かける時、お父さんは下駄を履けと言い、お母さんはぞうりを履けと言ったからです」と答えた。
首里城の近くに王様が水を飲む皮があった。役人が「この川の近くに小便をする者は五貫の罰金」という立て札を立てた。モーイはそれを見て、「小便をしたら五貫の罰金なら小便をして五貫を払えばいい」と、わざと小便をして役人に捕まった。摩文仁親方はそれを見て、「どうしたのか」と聞いた。役人が説明すると、摩文仁親方は今度はモーイ親方に尋ねた。モーイは「これは小便すると五貫の罰金と書いてあるので、五貫払ったら誰でも小便していいということになる」と答えた。摩文仁親方はびっくりして、「それならどうしたら良いか」と聞いた。モーイは「金では誰でもやる。五貫あれば誰でもやる。だから、ここに小便する者は罰を与えると書いて、札を立てれば良い」と答えたので、摩文仁親方は感心した。
モーイは他の親方の娘と結婚することになっていた。その相手の娘がきれいかどうか見たくて、鶏を相手方の殿内の中に入れた。殿内の中が大騒ぎをして娘も出て来た。モーイは「見た、見た」と喜んだ。相手方の親方はモーイは本当の馬鹿だから、娘をあげるわけにはいかないと伊野波親方の家に断りに来た。そこでモーイは門の上にカキジャーを持って上り、カタカシラにひっかけて許さなかった。そして、「結んである縁の結び目、かけてあるカキジューは離れない」と言い、「妻にさせると言ったら離す」と言った。親方は「させる」と答えたので、結婚することができた。

再生時間:13:28

民話詳細DATA

レコード番号 47O417178
CD番号 47O41C371
決定題名 モーイ親方(共通語)
話者がつけた題名
話者名 豊永盛三
話者名かな とよながせいぞう
生年月日 19100918
性別
出身地 宜野湾市伊佐
記録日 19780813
記録者の所属組織 沖縄国際大学口承研
元テープ番号 宜野湾T12A09
元テープ管理者 沖縄伝承話資料センター
分類 笑話
発句(ほっく)
伝承事情
文字化資料
キーワード 蛙,タバコ,下駄とぞうり,モーイ親方,小便,鶏,親方はモーイ,馬鹿,カキジャー
梗概(こうがい) 伊野波殿内といって親は親方で、子供はもっと頭が良くて、モーイという名であった。このモーイは沖縄名は伊野波モーイと呼ばれ、昼は馬鹿みたいにして、頭もきれいに結わずにいたが、夜は床下でお線香をつけてフクギの葉で勉強していた。 ある日、学校に行く時に、蛙を見た。その蛙は頭にヌブシの玉を持っていたので、それが珍しくて先生に見せようと手のひらに乗せて行く途中に転んで、それを飲みこんでしまった。それを学校に行って先生に話した。先生はモーイが頭がいいのが分かっており、これは本当の人間ではないと思って感心した。 親の友達の摩文仁親方が交際して家に来ていたが、お前は馬鹿だから行けといつも追い払われていた。モーイは親に、「お前はあまりタバコを吸うから一日に一回しか吸ってはいけない」と言われた。そう言われると、モーイは大変真面目なので、「はい」と答えた。そしてこのタバコを一袋、一皿に入れて飲んでいたら、煙がひどく出て、「伊野波殿内が火事だ」とあちこち騒いだ。それで親に叱られて、「どうしてお前はよけいにタバコを飲んでこんなに大煙を出したのか」と聞かれた。すると、モーイが「お父さんが一日に一回にしなさいと言ったので、いっぺんに飲んだ」と言ったので、お父さんは一本やられた。 用事に出る時も、モーイは真面目なので、母親の言うことも父親の言うこともよく聞いた。お父さんが「お前はどこかに行く時には下駄をはいて行くんだよ」と言い、お母さんは「お前はどこかに行く時にはぞうりを履いて行くんだよ」と言ったので、モーイは真面目だからその二つを履いて城の前を通った。それを首里に出勤仲の摩文仁親方が見て、「モーイ、何故、片方は下駄、片方はぞうりを履いているのか」と聞いた。モーイは「出かける時、お父さんは下駄を履けと言い、お母さんはぞうりを履けと言ったからです」と答えた。 首里城の近くに王様が水を飲む皮があった。役人が「この川の近くに小便をする者は五貫の罰金」という立て札を立てた。モーイはそれを見て、「小便をしたら五貫の罰金なら小便をして五貫を払えばいい」と、わざと小便をして役人に捕まった。摩文仁親方はそれを見て、「どうしたのか」と聞いた。役人が説明すると、摩文仁親方は今度はモーイ親方に尋ねた。モーイは「これは小便すると五貫の罰金と書いてあるので、五貫払ったら誰でも小便していいということになる」と答えた。摩文仁親方はびっくりして、「それならどうしたら良いか」と聞いた。モーイは「金では誰でもやる。五貫あれば誰でもやる。だから、ここに小便する者は罰を与えると書いて、札を立てれば良い」と答えたので、摩文仁親方は感心した。 モーイは他の親方の娘と結婚することになっていた。その相手の娘がきれいかどうか見たくて、鶏を相手方の殿内の中に入れた。殿内の中が大騒ぎをして娘も出て来た。モーイは「見た、見た」と喜んだ。相手方の親方はモーイは本当の馬鹿だから、娘をあげるわけにはいかないと伊野波親方の家に断りに来た。そこでモーイは門の上にカキジャーを持って上り、カタカシラにひっかけて許さなかった。そして、「結んである縁の結び目、かけてあるカキジューは離れない」と言い、「妻にさせると言ったら離す」と言った。親方は「させる」と答えたので、結婚することができた。
全体の記録時間数 13:46
物語の時間数 13:28
言語識別 共通語
音源の質
テープ番号
予備項目1

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