顕微鏡で岩石を観察すると、肉眼では見ることが出来なかった美しいミクロの世界を観察することができます。
岩石は様々な種類がありますが、ここでは石材として様々なところで利用されている花崗岩(みかげ石)を例に考えてみます。花崗岩をじっくりと観察してみると、様々な粒が集まってできていることが分かります(写真)。その一つ一つの粒を鉱物といいます。岩石は鉱物の集まりなのです。岩石を構成する鉱物を造岩鉱物といいます。造岩鉱物の種類と量、その集まり方(組織)で岩石名が決まります。
まず肉眼やルーペで岩石を観察します。しかし岩石を構成する全ての造岩鉱物を見ることができるとは限りません。中には細かすぎて肉眼では造岩鉱物を区別することができなかったり、鉱物が見えてもその種類がよく分からない岩石があります。そこで顕微鏡の出番となるのです。
岩石鉱物を観察する顕微鏡は偏光顕微鏡(写真)といい、生物顕微鏡と仕組みが異なります。最も大きな違いは、偏光という特殊な光を通して観察する点です。光は普通あらゆる方向に振動していますが、偏光とは、光の振動方向を一定の方向に揃えた光です。偏光顕微鏡は、観察する光を偏光にするためのフィルター(偏光板)が2枚、互いに偏光の向きが直角に交わるような状態でステージの上下に組み込まれています。ステージ下の偏光板は固定されており、ステージ上の偏光板は出し入れができるような構造になっています。ステージ下の偏光板を通して観察する状態を平行ニコル(オープンニコル)、上の偏光板を入れて上下の偏光板を通して観察する状態を直交ニコル(クロスニコル)といいます。偏光板以外の偏光顕微鏡の特徴は、ステージが回転することです。ステージを回転させることで、偏光板を通して見た各鉱物特有の様々な変化を見せます。その変化は、オープンニコルかクロスニコル、各鉱物ごとに異なり、それを見比べて鉱物を識別します。
偏光顕微鏡を通して見た鉱物の特徴にはどのようなものがあるのでしょうか?主な造岩鉱物の特徴を表と写真にまとめます(表1)。
無色または白っぽい鉱物(ケイ長質鉱物)と、黒っぽい鉱物(苦鉄質鉱物)のそれぞれの色が観察できます。
黒っぽい鉱物(苦鉄質鉱物)に見られるステージを回転させるときの色の変化をいいます。
鉱物表面の1方向または2方向の筋のことで、2方向の場合、その交わる角度は約120°や約90°となることがあります。
各鉱物に特有に見られる色をいいます。
ステージを回転させるときに90°ごとに暗くなることで、暗くなった状態でのへき開線と視野内の十字線との角度が0°の場合を直消光、そうでない場合を斜消光といいます。
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