手わざ -琉球王国の文化-

金装宝剣拵 号 千代金丸

Sword mounting of hokey type and blade.
Known as `chiyo-gane-maru'

国宝「琉球国王尚家関係資料」にある千代金丸の刀身は平造りで日本製とみられる。鍔も鐺も日本製だが、金装の鞘や柄頭などは琉球製と考えられている。『球陽』(1743~1745年編纂)によると、1416年に中山王との戦いに敗北した北山王が、この刀で自刃したと伝えられる。柄頭には菊文と「大世」の文字が彫られ、柄には日本刀とは異なる独特な造りがみられることからも、尚泰久王の時代に拵が調えられたと考えられる。琉球王国文化を代表する宝剣を調査に基づいた材料と技法で模造復元した。

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聞得大君御殿雲竜黄金簪

High priestress's gold ornamental hairpin
with dragon and cloud motif

原資料は、琉球における最高位の神女・聞得大君が使用した簪で、カブソーの2つの部分からなる。ドーム型の頭は空洞で非常に軽く、約0.4㎜の銅板に雲龍などの文様を彫金している。柄は、六角形・ねじり・四角形の3部分に分かれており、列点唐草や天字文などの文様を彫金する。原資料の寸法と重量も計測しながら、聞得大君御殿の雲龍黄金簪を模造復元した。

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三線 志多伯開鐘

Sanshin "Shitahaku-kejo"

芯に「志多伯開鐘」の銘があり、元々は王族(伊江御殿)の秘蔵品であった。優美なプロポーションである真壁型を代表する三線で、琉球政府時代に製図された図面を模倣して同型三線が製作されてきた。模造復元にあたり、原資料を詳しく調査したところ、天の形状は必ずしも左右対称でないことがわかった。良い音を求め、野(棹の表面)を微妙に凹状に削りだすトゥーイ取りの技術、ウトゥダマイと呼ばれる爪裏の刳り方などの復元に努めた。

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三御飾(美御前御揃)御酒器銀杯洗

三御飾(美御前御揃)御酒器銀杯洗

Silver rinsing bowl

三御飾みつおかざり」は酒器しゅき御玉貫うたまぬち食籠じきろうを用いた飾りの総称で、王家の正月祭祀さいしなどに使用された。このうち酒器は祭祀さいし金盃きんぱい銀製流台ぎんせいながしだい八角銀鋺はっかくぎんわん托付銀鋺たくつきぎんわんからなる。原資料は、琉球の王族家・中城御殿なかぐすくうどぅんに伝わっていたが、沖縄戦により消失している。そのため復元にあたっては、戦前に鎌倉芳太郎が撮影した原資料の写真や、那覇市歴史博物館が所蔵する美御前御揃(三御飾)、過去の復元事例を参考にしながら模造復元した。

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黄色地鳳凰蝙蝠宝尽
青海波立波文様
紅型袷衣裳(表)、赤地平絹(裏)

黄色地鳳凰蝙蝠宝尽青海波立波文様
紅型袷衣裳(表)、赤地平絹(裏)

Child's costume with Chinese phoenixes,bats symbolizing
worth and waves on the blue surface of the sea patterns
on a yellow ground,silk

Child's costume with Chinese phoenixes,bats symbolizing worth and waves on the blue surface of the sea patterns on a yellow ground,silk

原資料は国宝・琉球国王尚家関係資料のひとつである。青海波せいがいは波頭なみがしら瑞雲ずいうん蝙蝠こうもりなどは、皇帝から頒賜はんしされる繻珍しゅちん(繻子織の一種)の文様を模した中国的意匠の作例である。基布は綾地紋織あやじもんおりを準備し、分析に基づき、地色は顔料で染めた。鳳凰の目元など繊細な表現は、染めの最後に筆を使って手で描き入れている。振りのある衣裳は長袖ナガスデと呼ばれ、童子が身につけた。大胆な配色、細心な筆使いなど、様々な要素が詰まった作品である。

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繍取織ウッチャキ

Ucchaki with weft ikat and hana-ui(supplementary weft weave).
on a white ground,cotton,wool

琉球には、様々な花織の技法がある。その中でも縫取織ぬいとりおりは道具を使用せず、文様の糸を手作業で織り込む技法である。ティバナとも呼ばれる。航海安全のお守りや、祭りで腰に下げるなどの用途で使われた手巾ティサジによくみられる。原資料は祭りの芸能衣裳として使われたもので、日本民藝館が所蔵している。不規則な文様がリズムカルで、かえって良い効果を与えている。あえて、不均一な文様も忠実に復元した。

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絹紺地巴紋入松竹梅模様
紅型風呂敷

絹紺地巴紋入松竹梅模様 紅型風呂敷

KinuUchukuii with pine,bamboo,plum patterns on a lightindigo
ground,silk

原資料は筒描きで絹布の両面から文様を描き、顔料で彩色し、その後、文様を糊伏せし地染めした。縫製は最後に行った。原資料でも同様に、裁断は筒描きの前に行われたものと思われる。本作は絹だが、苧麻布の場合は、縫い合わせた後で筒描きをする例が多い。また、苧麻布と比較すると、糊の線は緩やかで、色差し、隈取りもソフトである。上下左右どこから見ても良いように模様が構成されており、伸びやかな線が魅力である。

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