手わざ -琉球王国の文化-

「手わざ」 とは、作品を製作する手仕事の高度な技術を意味します。

琉球王国文化遺産集積・再興事業は、 近代化や戦争で失った文化財と、文化財を製作する手わざを、科学分析等の最新研究による情報をもとに模造復元し、さらには王国文化として発信するものです。

復元製作にあたっては、県内外の専門家で構成する8分野24人の監修者をはじめ、手わざに関わる100人以上の人材の力が結集されています。

熟練した方から若い方まで参加していただくことで、沖縄の伝統工芸を担う次世代の育成を目指しています。

いにしえの王国時代に想いを馳せて手わざの世界をお楽しみください。

模造復元とは

琉球王国文化遺産集積・再興事業における用語の定義

- 聞得大君御殿雲竜黄金簪 (きこえおおぎみうどぅんうんりゅうおうごんかんざし) を例に-

原資料
Original

模造復元をする際に、手本となるオリジナルの作品。

製作年代は16世紀と考えられている。琉球王国時代の神女組織の頂点に立つ聞得大君が使用した黄金の簪。祭祀を司る神女が使用した簪の中でも最大で、琉球王国の金工品の逸品として県指定有形文化財(工芸品)に指定されている。頭と柄からなり、頭は銅板を打ち出して鍍金しているため、半球状の空洞になっている。頭の上部には渦巻文と瑞雲文、側面と底部には龍文と波文、また柄にはねじれと魚々子文が細かく表現されている。

レプリカ
Replica

ある作品の複製品。元々は作者自身の手によって製作された原作の写しを指す言葉だが、一般的には製作者に関わらず複製品を指す言葉として用いられる。

原資料の型取りをして樹脂で成形し、金箔を貼って原資料の輝きを再現し、経年の汚れやシミなどを絵具で表現している。原資料と同じ見た目だが、材料は異なる複製品である。

模造復元品
Reproduction

ある作品について調査・研究を重ね、製作された当時の姿を忠実に復元したものを新たに製作することを指す。製作においては、可能な限り製作当時と同じ材料と技法を用いる。

平成28年度から製作を開始し、1年かけて完成。原資料の製作技法を復元し、0.4㎜の銅板を叩き出し、水銀鍍金を施して仕上げた。経年変化は表現しないため、製作当時の輝きを見ることができる。模造復元は、途絶えた製作技法の復元を行うため、学術的な意義がある。