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背筋を伸ばして立ち、リコーダーを吹く少女。まっすぐ前を見つめ、真剣な表情で演奏しています。
その背後には白い鳩が、少女の奏でる音に合わせるように飛び交っています。
足下には演奏に聴き入っているのか、たたずんでいる鳩が描かれています。
少女と鳩以外に具体的なものは描かず、背景一面を黄色の濃淡だけにすることで、少女の姿が一層際立っています。
久場は、高等女学校時代に中央公募展に入選するなど、若い頃から絵の才能を発揮しました。
戦後は沖縄画壇で活躍するとともに、沖縄の女流美術界を牽引しました。
生涯を通じて、こだわりをもって人物画を描き続けた久場。
70歳を超えて描かれたこの作品からは、少女を見守るような久場の温かい眼差しが感じられます。